「斉藤さん」の赤いカバン

2008.03.05

営業・マーケティング

「斉藤さん」の赤いカバン

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

観月ありさが正義の道をひた走る主婦を演じるドラマ「斉藤さん」。その潔さに毎週溜飲を下げる人も多いようだ。その斉藤さんがドラマ中で使っている服や持ち物も静かなブームになっているようなのはご存じだろうか。

服はGAPのものが多いのだが、話題なのはカバン。斉藤さんが第1回からずっと愛用している赤いカバンだ。
番組公式サイト:斉藤さんファッションhttp://www.ntv.co.jp/saito-san/fashion/saitou/1.html
「キプリング(kipling)」というブランド。http://kipling.jp/(注:音が出ます)
指しゃぶりをする、かわいいサルのマスコットが付いたナイロンバッグだ。定番色は4色あるが、シーズン毎に限定色を多数展開するのも特徴で、そのカラー毎にマスコットのサルもバリエーションが展開される。

さて、話題の斉藤さんのカバンであるが、実は上記の通りシーズン限定商品で2007年秋冬モデルのため、既にソルドアウトなのだ。あちこちのショップで探し求める人も多いようだが、徒労に終わっている模様。シーズン限定のそんな希少性を売りにしているので仕方がない。
もはや買えないモデルは仕方ないとして、定番ものや新作を購入する人も多いので、宣伝効果はばっちりだ。
テレビ番組や映画の中で企業の商品を登場させる宣伝広告の方法をプロダクトプレイスメントというが、斉藤さんに持たせて話題となったキプリングは成功事例の一つといえるだろう。

ところで、その特徴であるサルのマスコットなのだが、ショップに行くとそれだけ単品販売されている。バッグに下げられるようなキーホルダータイプや携帯ストラップもある。
マスコットだけ買われて、他のカバンに付けられたらブランド価値が低下しないかなぁと思った。
同社のカバンはメインが1万3千円ぐらい。一番小さなポーチのようなものでも、ちゃんとマスコットは付いているのだが、7千円ぐらいする。にもかかわらず、マスコット単体なら千円ちょっとなのだ。

実は筆者の妻が同社のカバンを一つ持っていて、娘がそのマスコットをほしがっていた。なので、数寄屋橋高架下にショップを見つけたので、早速マスコットのみ購入してみた。
で、早速他のカバンに付けてみた。・・・なんだか違和感がある。

なるほど、マスコットだけ買って済ませてしまう人も確かにいるかもしれないが、この違和感がいやで、ちゃんと購入する人も多いのではないかと思った。
多くの欧州ブランド、グッチにしろ、ヴィトンにしろ、携帯ストラップなんてちゃちなものをなぜ販売するのかと思ったこともあるけれど、小さなものまで統一したいというファンだけでなく、それをエントリー商品として新たなユーザー獲得ができるという意味もあるらしい。

軽い気持ちで買ったサルのマスコットなのだが、高いものにつきそうな予感がしてならない。
筆者もまたプロダクトプレイスメントという手法にやられた一人となってしまった。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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