今秋、松下電器産業株式会社が社名を「パナソニック株式会社」に変更する。真のグローバル企業を目指す決意の表明だという。よく使われる「グローバル(スタンダード)」とは一体、何なのだろうか。
昨夜たまたま見たテレビで松下は今年、外国人新入社員を30人ぐら
い入れたといっていた。が、人事では「優秀な外国人ほど3年ぐらい
で会社に不満を持つようになり、辞めていってしまう。彼らをどう
やって引き止めるかがいまの課題で、そのためにも考え方をグローバ
ルスタンダードに変えていかなければならない」などとコメントして
いた。
ここでもグローバル・スタンダードである。
ちなみに「グローバルスタンダード」をググってみると約40万件
ヒットする。ウィキペディアには「グローバリズム」が次のように説
明されている。
>>
グローバリズム(Globalism)とは、グローブは英語で球、すなわち地
球を意味する語であり、地球主義とも呼ばれるもので、地球を1つの
共同体と考える立場から共生を主張する思想。または多国籍企業が国
境を超えて世界的規模で経済活動を行うこと、全地球的に市場原理主
義を押し広げることをいい、近年ではこの意味で用いられる場合が多
い(→http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%AA%E3%82%BA%E3%83%A0)
<<
なるほど、グローバリズムとはウィキペディア的解釈によれば地球を
ひとつの共同体と考える立場から共生を主張する思想ということにな
る。それならグローバル・スタンダードは、地球をひとつの共同体と
考えるうえでの基準ぐらいの意味となるだろう。
しかし本当にそうだろうか。
たしかにITによって世界は一つの市場になった。その結果、特に金融
取引などは世界的規模で行なわれるようになり、しかも極端なまでに
スピードアップもされている。筆者のうろ覚えかもしれないが、金融
の世界では確か「金融工学をマスターし、そのテクニックを駆使して
収益をあげること」がグローバル・スタンダードだ、などといわれて
いたのではなかったか。
その結果、何が起こっているのか。
本来ならアメリカ国内の問題であるはずのサブプライムローン問題が
今や全世界に波及している。今日(4月2日)の日経朝刊によれば
UBS(スイスの金融大手)が、サブプライム関連で約2兆円!もの追
加損失を計上するとあった。昨年来の損失合計は約3兆8千億円にも
なる。グローバル・スタンダードのおかげで(と言い切るのはやや問
題があるが)アメリカの低所得層向けローンに起こった問題がスイス
の金融大手に大打撃を与えたわけだ。
次のページなぜ、そんなことになるのか。
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