テレビ通販も厳しくなってきた?

2008.04.16

営業・マーケティング

テレビ通販も厳しくなってきた?

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

米国ではずいぶん昔から盛んだったテレビ通販。 専門的には「インフォマーシャル」と呼びますね。 米国生まれの「テレビ通販」は、 日本では当初なかなか定着しなかったのですが、 今や最盛期を迎えていると言えます。

まあ、24時間、次々と「お買い得商品」を
説明するキャスターたちの

大げさなしゃべりやゼスチャー

には多少違和感を抱かないでもないですが、
一種の「エンタテイメント」でもありますから、
あのくらいわざとらしい演技のほうが楽しいですね。

さて、テレビ通販の場合、
消費者のツボにはまった商品が出た時の販売力は
すごいというのは想像がつくかと思います。

以前放映された取材番組で見たのですが、
テレビ通販大手、ジュピターショップチャンネルが
オリジナルで開発した

「天然石の腕時計」(売価:9450円、限定5,000個)

はテレビでの紹介開始後40分で完売してました。
わずか40分で約5千万円の売り上げ。

テレビ通販では、
こうしたことが日常茶飯事で起きています。

ただ、最近はやはりインターネットの影響で
消費者の購買行動に変化が生じており、
そうそう簡単には売れなくなってきているようです。

これは、先日指摘したダイレクトメールや、
また、カタログ通販も同様ですが、
テレビ通販を見て即座に発注をするのではなく、
ネット通販の価格動向も見ながら、最安値を狙う
ユーザーが増えてきているのです。
(日経新聞、2008/04/15)

以前のユーザーは、
テレビ通販に対してどちらかといえば受動的でした。
説明を聞いて納得したら迷わず注文していたのです。

ところが最近は、他に安く買えるところはないかを
十分調べた上で、能動的に購入先を選別・決定するように
なっています。

まあ、これはネットを縦横に使いこなせる今の消費者に
とってごく自然な行動ですよね。

したがって、テレビ通販会社としては、
インフォマーシャルとしてのクリエイティブを
より効果的なものとするだけでなく、
「価格面」での魅力的なオファー、端的には

「最安値」

を提示することにも、
ますます配慮しなければならないということです。

これはクリエイティブ上の競争ではなく、
価格競争をせざるを得ないということであり、
粗利がどんどん削られていくわけですから、
どうにも厳しい時代になったものですね。

こうした価格競争を回避するには、
前述したような「オリジナル商品」の開発に
力を入れる戦略に向かわざるをえません。

そもそも、テレビ通販を含む、いわゆる

「ダイレクトマーケティング」

では、ひとつの施策に対して、
どれだけ多くの反応(注文など)が取れるか
が最重要目標です。

ですから、以前から言われてきたことですが、

・今だけ(今しか買えない)
・ここだけ(ここでしか買えない)
・これだけ(限られた数しか買えない)

の商品を提示できるかどうかがポイントなんですよね。

Ads by Google

この記事が気に入ったらいいね!しよう
INSIGHT NOW!の最新記事をお届けします

松尾 順

有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

フォロー フォローして松尾 順の新着記事を受け取る

一歩先を行く最新ビジネス記事を受け取る

ログイン

この機能をご利用いただくにはログインが必要です。

ご登録いただいたメールアドレス、パスワードを入力してログインしてください。

パスワードをお忘れの方

フェイスブックのアカウントでもログインできます。

INSIGHT NOW!のご利用規約プライバシーポリシーーが適用されます。
INSIGHT NOW!が無断でタイムラインに投稿することはありません。