先日、 「ブランドデータバンク」 のアンケート調査に基づいた、 「三越な人」(三越が好きな人) と 「伊勢丹な人」(伊勢丹が好きな人) のそれぞれが保有しているブランド品や好きなブランド品、 好きな有名人、信頼するメディア、消費に関わる価値観 などの「違い」についてご紹介しました。
とはいえ、三越も伊勢丹も同じ
「百貨店」
と呼ばれる業態に分類される店です。
2つの百貨店の強みやイメージはかなり異なるものの、
三越が好きな人は、伊勢丹も結構好きと答えていますし、
逆も同様で、伊勢丹が好きな人は、三越もそこそこ好き
なのです。
つまり、百貨店好きという点で共通点が多く、
三越な人も伊勢丹な人もかなり似通った消費行動を
取っています。
どちらも中高年層の比率が高いですしね。
例えば、好きなバッグブランドの
上位御三家は、順位がちょっと入れ替わりますが、
三越な人、伊勢丹な人のどちらも、
・ルイヴィトン
・コーチ
・グッチ
です。
ところが、20代前半の女性だけで見ると、
突然上位に浮上するバックのブランドがあります。
「サマンサタバサ」(以下「サマンサ」)
です。
日経MJ(2008/04/30)の消費分析の記事では、
都内女子大生500人対象のアンケート調査の分析が
掲載されていましたが、以下の3つの質問に対して、
グッチやコーチを抑え、いずれもルイ・ヴィトン
(以下、「ヴィトン」)に次いで2位の座を
獲得していたのが「サマンサ」でした。
・どのブランドにステータスを感じるか
・ファッション雑誌から受けるブランドの印象の強さ
・どのブランドが流行を引っ張っているか
同記事を読んだ方はお気づきだと思いますが、
上記の回答に挙がっていたブランドは、
サマンサを除いてすべて海外ブランド。
国産ブランドの中で、ほぼ唯一サマンサだけが、
短期間でこれだけの高い地位に上りつめた理由に
ついては、私はファッション動向にあまり詳しく
ないので、ぜひどなたかに教えてもらいたいのですが、
ブランディングの成功事例として
とても興味があります。
さて、日経MJの同記事では、
女子大生対象のアンケート結果を「多変量解析」
のひとつである、
「共分散構造分析」
を用いて深い分析を行った結果が
併せて紹介されていました。
共分散構造分析とはどんなものか、
わかりやすさを優先して説明すれば、
回答結果の背景(奥底)にある
「潜在心理」(専門的には「構成概念」と呼ぶ)
の構造を把握しようとするものです。
前述の調査について言えば、
ヴィトンとサマンサの2つのブランドについて、
それぞれを評価している理由を聞いた回答結果を
共分散構造分析にかけて、両者のブランド価値の
違いを比較しています。
どちらのブランドも、潜在心理としては
・流行意識
・価格を含めた品質意識
が高い「ブランド価値」につながっているのですが、
「流行意識」については、ヴィトンがサマンサよりも
強いことがわかりました。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。