宅配注文サイトといえば「出前館」。全国で8,100店以上の飲食店が出店する「出前館」は今や、出前のポータルサイトとして揺るぎないポジションを確立している。6年前、どん底状態で同社を引き継ぎ、見事に上昇気流に乗せた中村社長の秘策を伺った。
「お店が出前できるエリアなんて限られていますよね。基本的に半径2キロぐらいでしょう。インターネットを使うのだからとにかく世界を相手に、とストレートに考えていたのでは、まず出前館の発想は生まれなかったはずです。極めて限定されたエリアでもインターネットを使えば、おもしろいことができる。これが出前館のモデルにひかれた理由の一つでした」
さらにお店サイドに対して、可能な限り「やさしく使いやすい」システムとしたことが成功の秘訣だ。
「パソコンなんてまったく使わなくっていいんですよと。これが説得材料として効きましたね。ファックスと電話さえあれば、出前館を使ってもらえる。ということはお店では、新しいことを何もしなくていいわけです」
インターネットで注文を受けるとなれば、パソコンを使わなければならない、ややこしくて面倒だ。といった拒否反応を示す店長さんも多いはずだ。このポイントを出前館はうまくついた。電話とファックスなら出前をやっている店である限り、まず間違いなく持っている。つまりお店には追加設備は一切不要、新しくオペレーションを覚える必要もまったくない。
「もう一つ、お店に提供するメリットとしてクレームはすべて、いったん我々が受けるシステムを用意しました」
狭いエリアでビジネスを展開するお店サイドとしては、ちょっとしたクレームが命取りになりかねない。とはいえ、お店のスタッフはクレーム対応に慣れていないケースが多い。そこで中村社長以下のスタッフがクレーム対応に当たってくれることは、お店サイドに取っては大きな心理的メリットとなった。
「でも、お正月なんかはスタッフがいないから、自分で朝から晩まで電話対応したりして、ほんと、大変でした。家族からも大ブーイングでしたし」
結局、新しいビジネスを軌道に乗せる過程では、誰かがこうした汗かき役を必死になって務めなければならないのだ。しかも、そうした日々の業務をこなしながらも、ビジョンはしっかりと見据えていることも必要だ。
「最終的な理想形は最初から描いていました。それがいま大手のピザチェーン店さんとの間で実現しているシステムです。注文を受けると、そのデータがPOSレジに飛ぶようになっています。これにより、従来は電話対応スタッフが3人必要だったお店が2人で回るようになる。受注コストを下げ、さらに人件費削減までサポートできているんですね」
▲お店サイドではFAXと電話の自動音声コールだけで対応できる。簡単で手間もかからないシステムが、高い評価を得た。
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FMO第12弾【夢の街創造委員会株式会社】
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