経済環境が大きく変化する中、M&Aは大企業だけが主人公という時代は終わり、戦略的にM&Aを捉える中小企業経営者や若手ベンチャー企業経営者は増えてきました。 小規模M&Aの専門家がM&Aで売却する際の「成功のポイント」をご紹介します。
大企業だけではないM&Aという選択枠
経済環境が大きく変化する昨今、会社存続、雇用継続の策として、M&Aのご相談に来られるお客様や、資金調達として部門売却(事業譲渡)したいといった案件が増えてきました。また、IPOが難しくなった今、M&Aを企業の出口戦略として考えるベンチャー企業の経営者様や、これまで育ててきた事業を売却し、その売却益で新しい事業をするという事を考えられている30代の若手経営者様など、M&Aを経営戦略の一部として活用する経営者様が大企業に限らず増えてきていると実感します。
M&A成功のポイント
さて、売却を検討しているのであれば、会社経営者であれば、従業員や事業を安心して任せられるという譲渡先を見つける事の他に、出来るだけ高い金額で売却したいという思いがあるかと思います。今回は、「M&Aで会社を高く売るにはどうしたらいいか?」ということについて述べたいと思います。
過度の節税に注意!
売却価格の算出方法については様々な手法がありますので、専門家に相談しながら、決定する事をお薦め致しますが、M&Aで売却をする際、直近3年分の決算書を参考にしますので、売却を視野に考えておられるならば、健全な財務内容で魅力ある事業、すなわち黒字事業にしておくことが重要です。売却評価額を算出する際には、営業利益の数字が重要なポイントになります。営業利益は、商品の原価、従業員の給与、オーナーの役員報酬、経費など事業の運営に掛かる費用を差し引いた数字なので、その事業がどれだけの収益性をもっているのかが現れる重要な役割を持っています。売却を視野に入れているのであれば、この営業利益の数字を健全で明確な数字にしておくことも重要なポイントだと言えると思います。例えば、売却を計画しているのであれば、適正な役員報酬額を取ること、事業とは関係のないオーナーの個人経費などは計上しないなど、営業利益の数字を買い手にとってわかりやすくしておくと良いと言えるでしょう。もちろん、中小企業や小店舗事業のオーナー様にとっては、節税対策は非常に重要ですし、実際の評価では、実質の年間営業利益を参考にしますが、過度に節税している状態では、事業の「実態」が見えにくいので、結果的に良い評価を得られなくなる可能性があります。 また、不正や計上漏れなどの簿外債務がない財務内容にしておく事ももちろん最低限必要です。提出した財務資料に不正があったとしても、最終契約締結前に行われる買収監査で、専門家による実地調査で不正が見つかれば、これまで時間と労力をかけて進めてきたお話自体が破断してしまいます。M&Aを成功させるには、決算書の健全性確保が非常に重要なポイントです。
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