“干物”の知識をもっと食べよう!

2009.02.27

仕事術

“干物”の知識をもっと食べよう!

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

「干物」を自分で作ったことはありますか? そもそも、料理さえろくできない私にはもちろん、 干物を作った経験はありません。 朝食でよく食べてますけど! 干物のアジとか、とてもおいしいですよね。

「干物」って文字通り、
天日の下に魚介類を干(さら)して乾燥させたもの。

鮮度は失われますが、
うまみが凝縮され、長く保存できるようになります。

干物の作り方を調べてみたんですが、
おいしい干物を作るポイントは、

「風通し」

だそうです!

ですから、乾燥した風が吹き込む冬場が、
干物づくりに適しているとのこと。

さて、ベストセラー、

「悩む力」(集英社新書)

の著者であり、政治学者として知られる姜尚中氏は、

“生もの”の知識と“干物”の知識

という言い方をされています。

姜氏の言う“干物”の知識とは、

「古典」

と称される書物のことです。

一方、“生もの”の知識とは、
日々起こっている目の前の出来事などについての
情報やニュースのことです。

姜氏は、

“ビジネスの世界は、言ってみれば「生もの」を扱う世界です。
 何事も鮮度が大事で、すぐに解決しなければいけない、
 ビジネスチャンスを逃してはいけないといったことが
 この世界の常識です”

とおっしゃっています。

そして、

“歴史の大転換期においては、「生もの」の知識やノウハウだけでは
 事足りません。自分たちがどこにいるのかという現状が理解できない
 からです。だからこそ、一見、無駄であるような「干物」の知識が
 求められているのです”

と古典を読むことの重要性を説いています。

とはいえ近年、
膨大な情報がネットを通じて入手できるように
なったこともあり、

「生もの」

の知識を追いかけるだけで精一杯。

なかなか、古典のような「干物」の知識まで
味わう時間が取れないのが現状でしょう。

しかし、「干物」の知識は、
時代の変化という強風に風化することなく、
むしろ味わい(エッセンス)が増したおいしい内容を
含んでいるのです。

そして、目先の情報だけを見すぎて

近視眼

になってしまった私たちに、

・全体を俯瞰してみること

そして

・ものごとの構造・仕組みや、
   世の中の変化の大きな方向性を把握する手がかり

を教えてくれるのです。

ちなみに私の場合、昨年の著作、

『営業はリサーチが9割!売上げ倍増の“情報収集”マニュアル』

および、監修者として先日出版されたばかりの

『先読みできる!情報力トレーニング』

の中では、同様のことを

「フロー情報」と「ストック情報」

という表現で説明しています。

すなわち、

・生もの=フロー情報
・干物=ストック情報

ですね。

「ストック情報」には、古典といわれる書物だけでなく、
様々な理論が載っている専門書を含めていますが、
「ストック情報」を積極的に蓄えることは、

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松尾 順

有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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