思うように動いてくれない部下や後輩に困り果てたことはありませんか? 部下をもつ上で、上司にはまず受け入れなければならない真実があるのです。 いちいち伝えなくても、部下が自分から行動するチームづくりとは?
「すみません…。明日から徹底させます」
毎日営業マン全員が記入するはずの営業日報。ここ数日、空白が多いなぁと思い、営業部長へ問いかけてみた際の返答です。
「なぜ、書いてくれないんでしょうかねぇ?あれだけ毎日書くように
口を酸っぱくして言っているのに」
愚痴めいた言葉を発する部長へ、私は笑いながら答えました。
「伝えるだけで部下が動くなら、上司は要らないよ」
コミュニケーションの本質は『何を伝えたか?』
ではなく、『何が伝わったか?』にあります。それを踏まえると、
「こんなに伝えているのに、やらない部下が悪い」
という上司の話はおかしな言い分。まずは、『まったく伝わっていない』自分のコミュニケーション能力を恥じる必要があります。
そもそも『伝えたら人は動く』と思うこと自体が大間違いです。
規則だから、決まったことだから、と押し付けられた『べき論』で、行動が長続きすることはありません。
上司の重要な役割は、部下が自分の意思で行動を『選択する』状態をつくり出すこと。部下がやりたいと決意できるように促してあげることが大切です。
そのためには、単なる『伝達』だけではなく、『話し合い』や『共感づくり』といった取り組みが不可欠になります。
『日報を毎日書く』、ただそれだけのことであったとしても、話し合
いは必要です。
「全員が日報を書くとどんないいことがあるかなぁ?」
「誰かが書いていないときちんと書いている人はどう感じる?」
「そもそも日報って誰のために、何のために書くのだと思う?」
ただ『日報を書いてね』の一言で済ますのではなく、部下と真剣に話し合ってみてはいかがでしょうか。その過程で、新鮮な発見があるかもしれません。
さて、部下が話し合いによって、
「がんばって日報を毎日書くことにします!」
と決意してくれたとします。
しかし、これだけではまだまだ不十分です。次のステップとして、その決意を具体化するための方法を部下と一緒になって考えてあげる必要があります。
「どうすれば毎日書くことができるかなぁ?」
「朝、昼、晩どの時間なら無理なく毎日続けて書ける?」
「移動時間に携帯で下書きをする、ってのはどう?」
などなど。
ここでも部下に方法を選択してもらうことを忘れてはいけません。
『日報を書く、と決意してもらう』
『毎日続けるための方法論を一緒に考える』
ここまでやって初めて、上司としての仕事が完了するのです。
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2010.03.20
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