「100年に一度の危機」という言葉は、いまや景気や雇用問題だけではなく、「100年に一度の危機の今だから食べたい激安寿司!」といったフレーズにも使われ始め、「100年に一度」も、だいぶ軽くなってきなぁ、などと感じ始めている今日この頃です。
ちなみに「100年に一度」と言い始めたのは、麻生総理ではなく、元FRB議長のグリースパン氏だと聞いて、ちょっと調べてみたのですが、グリーンスパン氏が昨年8月に英国のFinancial Timeに寄稿した記事を読むと、
“a once or twice a century event”
つまり、「100年に一度か二度の危機」と書いているので、正直、だいぶニュアンスは違うかな、という印象です。
ちなみに、今から100年前の1909年(明治42年)というのは、伊藤博文が旧満州のハルビン駅で暗殺された年、というから、かなりの昔であることは間違いありません。関東大震災や第二次世界大戦で日本が焼け野原になるのは、まだまだ後のことです。
こちらの画像は、東京大学総合研究博物館のアーカイブにあった明治42年6月の新聞広告です。今みると、広告としてはかなり貧相な感じですが、左下に大きくスペースを取っているのは「三越呉服店」(三越デパートの前身)ですから、新聞に大きく広告を出せるのは、当時も、一部の大企業に限られていたようです。
それに比べて、100年後の今日、中小企業や個人事業主であっても、インターネットを使って、全国(あるいは全世界)に向けて、簡単に広告が出せ、そしてモノやサービスを販売できる時代になっている訳ですから、少なくともビジネス環境における選択肢の広がり、という意味では、過去100年で、今日ほど恵まれた時代はないように思います。
とはいえ、景気は「気」からという言葉もある通り、消費者や顧客企業の「買い控え」による売上の低迷に頭を悩ませておられる方も多いことでしょう。そんな時、ぜひ見直して頂きたいのが、リテンションマーケティング、つまり既存顧客がもたらす価値を理解した上で、そこからの売上を最大化するためのマーケティング活動です。
仮に、過去1年間で、検索連動型広告を使って、毎月、100件の新規顧客をできていたとすると、みなさんの手もとには、延べ1,200件分の顧客データが残っている筈です。この不景気で、新規の顧客が伸び悩む、あるいは獲得コストが上昇してしまっているという今こそ、この顧客資産を活かすべき時に来ているのではないでしょうか?
もし、1,200人(社)の既存顧客にメールを送って、そのうち10%にあたる120人がメールをよみ、さらにその10%にあたる12人が、再びサイトを訪れて商品を買いにきてくれたとすれば、これは、毎月の新規顧客の獲得件数100件に対して、実に12%にあたる数字、ということになります。もし、これまで、獲得コスト5,000円で新規顧客を獲得していたとすれば、これは12件=6万円分をかけたのと同じ効果を、メール1本で生み出した、ということになります。
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