No2が上司批判している、だと?

2009.04.18

組織・人材

No2が上司批判している、だと?

小倉 広

チームのNo1とNo2の仲違い。チームによくある光景です。 2人のタイプや性格が違うからこそ生まれるチームの乗数効果。 ただ、ベクトルが違うらこそ足並みが揃わないことも多くあります。 そんな状況を打破するベクトル合わせの方法を今回はこっそりお教えします。

「オグラさん、当社の情けない話を聞いてくださいよ…」

顧問契約先のA社長が私を呼びとめて社長室へ案内してくれました。

「先日、当社の新卒社員達と面談した結果、これが発覚したんです」

新卒社員がいうには、彼らの上司たるNo2の主任達が、課長批判を繰り返しているとのこと。

「あれじゃあ、新卒がかわいそうだ。No2がNo1を批判しているのを毎日聞
かされたら、やってられませんよ」

 No2とNo1の組み合わせは、多くの場合、タイプの異なる者同士を補完する形で決められます。結果、両者は異なる主張を持ちながら同じ部署を運営することになります。しかも、両者は自分の考えに自信がある。衝突は当然の結果といえるのです。

 しかし、経営者としては、こんな状態を見過ごしたままでいいはずがありません。では、どうすればいいのでしょうか?

 我々Faithグループの主力商品に『イニシア』というフォロワーシップ研修があります。フォロワーシップとは、リーダーシップの対語で、いわば部下心得のこと。当社では、以下のように定義しています。
『好き嫌いや自我を捨て、チームのために貢献することを決意し、上司の弱みを陰で補い、上司の雑務を引き受けること』

 No2とNo1の対立を回避する第一段階は、No2にフォロワーシップを、そしてNo1にはリーダーシップを実践してもらうことです。

 ところが…世の中のほとんどの人はフォロワーシップについて、その存在すら知りません。結果、No2とNo1が、自らの主張を押し通そうとリーダーシップの縄張り争いをしてしまうのです。
しかし、このフォロワーシップという考え方をレクチャーするだけで、No2の言動は劇的に変わります。つまり、自らの過去について猛烈に自己反省するのです。
なぜなら、No2の間違った言動は、「無知」が原因の場合がほとんど。だからこそフォロワーシップという考え方をきちんと教えてあげることが効果的な対策となるのです。

 そして、フォロワーシップを実行に移す際に最も重要なことが、好き嫌いや自
我を捨てること。自らの好き嫌いや価値観を、上司の方針に反対する形で提示することが、どれだけチームに迷惑をかけているかを自覚すれば、ごく自然に自我を捨てることが出来るようになります。

 私のかつての同僚であるBさんは、担当役員として、どの部署を管轄するかを話し合う会議で、

「どの部署を管轄したいですか?」

と問われた時にこう答えました。

「どこでも結構です。私には欲求が無い。ただし、私は皆さんのお役に立てるの
が一番嬉しいこと。だから与えられた仕事をやることが最高に嬉しいのです」

利己主義ではなく利他主義。他者を犠牲にするのではなく、自己犠牲を払う。この行動こそがフォロワーシップであり、その先にリーダーというポジションが待っているのです

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