一寸先は闇。将来のことについてなど、誰一人として確かな予言はできはしない、というが本当だろうか。例えばサブプライム問題である。アメリカ発の金融危機が日本を襲うことは、少なくとも2年前には確定した未来だったという。
サブプライム問題に日本があわて始めた時期は?
「サブプライム問題」という言葉を新聞でよく見かけるようになったのは、一体いつ頃からだっただろうか。まったくのうろ覚えではあるけれども、去年の春ぐらいだったように思う。もっとも経済問題に関心がある方、あるいは海外への投資を行っている方たちと筆者の問題意識はまったくレベルが異なるので、とんでもない思い違いをしている可能性もある。
とはいえ、多くの日本人にとっては「サブプライム問題」といわれても、去年の9月ぐらいまではまったくピンと来なかったんじゃないだろうか。ところがリーマン・ブラザースが潰されると、一気に景気悪化の津波が日本にも押し寄せてきた。その少し前ぐらいにはトヨタが過去最高の利益とぶち上げていたにもかかわらず、その後の半年でつるべ落としのように赤字転落、さらには赤字幅の急速な増大へと沈んでいく。
ただ天下太平の日本では、去年の春先ぐらいまではまだまら戦後最長の好景気などというのんきな話もあったはずだ。
確かな情報があれば未来は読める
私事で恐縮だが、今年の2月に高校の同窓生が集まる機会があった。筆者が本を出したお祝いをしてくれたのだ。その席に海外にいくつも工場を持つ経営者も来てくれた。そこで彼に話を聞いてぶったまげた。
彼は遅くとも2年前(=2007年、アメリカでサブプライム問題が深刻化した時期だ)には、アメリカの子会社を通じて情報を掴んでいたという。そして、いち早く去年の秋以降に現実に起こった事態をほぼ正確に予測し、それ故に新規採用の絞り込みからさらには減産体制への備えをしていた。
とはいえ2年前時点での受注は順調すぎるぐらいで、いくら増産しても追い付かないぐらいの景気である。現場からは一人でも多く作業スタッフを入れてほしいといわれながらも、頑として首を縦に振らなかったそうだ。おかげで、日本企業の多くが去年秋以降に極端な雇用削減に走る頃、彼のところはすでに減産体制ができていた。
もっとも、その彼にしても、まさかトヨタが生産量を半分にまで落とすとは読めなかったらしい。しかし、である。日本に本拠を構える彼でもそれぐらいの情報は早くから手にしていたのだから、震源地アメリカで金融情報を深く速く入手できるポジションにいた人たち中には、それなりの手を打っていた人もいたはずだ。
2012年がターニングポイントになる可能性
経済状況を正確に読みきることは、いくら深い情報を持っていたとしても至難の業である。ところが、ほぼ確定した未来像をいち早く得られるジャンルもある。年齢別の人口分布である。
いま40歳の人は10年後には50歳になっている。当たり前の話だ。ということは、10年後の50歳人口はほぼ確実な値を推測できるはずだ(もしかして、新型インフルエンザが発生し、この年代の人たちに集中的な被害を及ぼす、なんて事態もあり得るといえばそうではあるが)。
言うまでもなく日本の将来にとって最大の問題は「少子高齢化」の進行が加速することだろう。歴史に学ぶなら、少なくとも人口が減って栄えた国は過去、一つもなかった。もっとも、この見方に対しては、これからの日本がこれまで同様に繁栄を謳歌する必要はないという見解もあるかもしれない。ともあれ、ここでは少子ではなく、高齢化を問題として考えることにする。
そこでエポックメイクとなるかもしれないキーナンバー「2012」年が浮かび上がってくる。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2015.07.10
2015.07.24