4月21日に『KDDI(au)の新ブランド「iida」。その先鋭的な狙いとは?』という携帯電話に関する記事を書いたばかりだけれど、その後、いくつか気になる報道を見つけた。 今回は、それらの情報をつなぎ合わせて、携帯電話ユーザーの動向について少し深掘りしてみたい。
■「過去最低」の携帯電話出荷台数の真の原因は?
<2008年度の携帯電話出荷台数が過去最低を記録――2010年度まで減少傾向>
http://www.yomiuri.co.jp/net/news/cnet/20090423-OYT8T00686.htm
MM総研の調べによる2008年度通期の国内携帯電話出荷状況を次のように報じている。<2000年度の調査開始以来初めて4000万台を下回り、過去最低となった>。そして、2つの原因を挙げている<新端末の価格高騰やキャリアによる期間拘束型プランの浸透や消費低迷などによる買い替えサイクルの長期化><通信キャリアが大幅な在庫調整を実施し(中略)市場の端末を売り切るためにメーカーからの仕入れを抑えたため>
業界筋の分析としてはそうなるのだろうが、真の原因を捉えてはいないように思う。
前者の「買い替えサイクルの長期化」は確かにユーザー動向を表わしている。そして、わかりやすい原因としては「価格高騰」「期間拘束型プラン」「消費低迷」も間違っていないだろう。しかし、ユーザーのココロの中をもう少しのぞいてみたいところだ。
後者は在庫調整が必要になったのは、ユーザーの買い換えが鈍化したから。前者と原因は共通する。
■ユーザーは「ケータイ疲れ」していないか?
ユーザーと携帯電話の関係を表わす、おもしろいインターネット調査の結果が発表された。
<約半数が、家の中でも「携帯電話を持ち歩く」――ネプロジャパン調べ>
http://japan.internet.com/wmnews/20090424/10.html
記事のタイトル通り、もはや現代人にとって、携帯電話は切っても切れない関係になっていることが示されているが、反面、ネガティブな意見も目立つ。
<携帯電話が手元にないと不安になるかどうかを聞いたところ、「不安になる」という回答が6割近く(58%)を占める><携帯電話による悪影響については、「携帯電話に縛られるようになった(18%)」>など。
筆者はユーザーの「ケータイ疲れ」を見て取ったが、どうだろうか。
■飽きられはじめた先進技術?
携帯電話といえば、かつてはモデルチェンジが頻繁になされ、その度高機能化していくのが常だった。そして、多くのユーザーがそれを熱狂的に追いかけた。筆者もその一人だ。
先のMM総研の調べをもう一度見てみよう。メーカー別の出荷台数だ。
<AQUOSケータイのシャープが4年連続で1位となった。ただし、出荷台数は前年同期比35.3%減>、2位はVIERAケータイの<パナソニック モバイルコミュニケーションズで、出荷台数は同13.6%減>。
目玉の高画質ワンセグ携帯を抱えていてもシェアの低下に歯止めがかからない。その背景には、高機能を追求していくユーザーの減少が隠れているのではないだろうか。筆者も、昨年末、久々の機種変更をしたのだが、もはや新機能を追いかけはしなかった。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。