バカ売れで一時生産中止だという。ロッテのガム「Fit's(フィッツ)」のミックスベリー味。そもそも、このガム、CMを中心とした販売促進が絶妙なのだ。
テレビをなにげなく見たら、そのCMに目が引きつけられた。「かむ~とフニャン、フニャン・・」。耳もそっちに引きつけられる。
佐々木希が曲に合わせてフニャフニャとダンスを踊る。
か、カワイイ・・・おーっと待った。いい歳をして21歳のファッション誌モデルに鼻の下を伸ばしているワケではない。そのダンスがカワイイのだ。ダンスだってば!
人気俳優・佐藤健も別バージョンでフニャンフニャン踊っている。
聞けばダンスの振り付けはパパイヤ鈴木だそうだ。言われてみれば、そんな動き。さすがだ。
曲も何とも耳に残る。歌うは「たむらぱん」。作詞・作曲・編曲からアルバムジャケットのイラストまで一人でこなすスーパーなアーティストが、自らの楽曲の中でも一番かと思われるようなハイテンション&ハイトーンで楽しい歌声を届ける。
インパクトの強いCM。街で小学生が「フニャンフニャン」と歌いながらダンスのマネをしている。さすがに筆者は歌ったり踊ったりしないが、同製品のWebサイトではYouTubeにフニャンフニャンダンスを踊って投稿するコンテストまで開かれていた。(受付は既に終了)。アテンション、バッチリ。
しかし、一つのギモンをCMは投げかけている。そもそも、「噛むとフニャン」って、ガムってだいたい噛めばフニャンとするモンじゃないのか?ギモンは関心をかき立てる。
新発売は3月下旬であったが、しばらくは交通広告もかなり積極展開していた。
そこでも「噛むとフニャン」のコピーと、ダンスのポーズを取る佐々木希と佐藤健のビジュアルがある。
しかし、目を引くのは「HOW TO CHEW "Fit's"!!!」と題して「Pick ! Get !! Pull !!!」と、独特のパッケージから取り出して口に運ぶやり方が、3段階に分けて説明しているイラストだ。
わざわざ図解するほどのことか~?とも思うが、なかなか工夫しているなぁと感心する。昨今のガムは「ガムの新スタイル」と大きく出たグリコのPOs-Ca(ポスカ)のように、口への運びやすさをアピールする傾向があるようなのだ。確かにコモデティー品としては、パッケージは有力な勝負のしどころだ。
などと考えながら、さらに関心が高まり、一度試してみたいなぁと、購入欲求が涌く。
この手のパッケージグッズは、「いつか機会があれば購入を!」などといったレベルで消費者の記憶に深く刻み込まれることはあまりない。故に、短期記憶が消えないうちに、購買行動に踏み切らせるのがポイントである。
その意味からすると、交通広告から、駅のコンビニの商品陳列までの導線設計が絶妙だ。JRの駅コンビニ、「ニューデイズ」ではレジ横のスペースをうまく確保していた。
交通広告を見る。乗換駅で、飲料を購入しようとコンビニに立ち寄る。支払いの際にレジに並ぶと、「あら?これは、噛むとフニャンじゃないの?」。バッチリ、購入のアクションまで引きずり込まれた。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。