「芸名」の実利的な効能を是非考えましょう。芸能人は本名で無く芸名で活動をします。非日常の自分に変身することは、日常のカラを破ることになり、ある種ストッパーが外れます。こうしたプラスの効果に限らず、セキュリティという問題が出てきたのではないでしょうか。
レンタルのニッケンという企業では、社員は全員「ビジネスネーム」を名乗ります。たとえば社長の中西良和氏は、「代表取締役 仲代吾朗」として、会社概要に登場しています。
スポーツでも、プロレスのようなエンターテインメント能力が極めて重要なジャンルでは、本名上田裕司という、どちらかといえば華の無いまじめな中堅レスラーが、上田馬之助を名乗ることで、金髪の一匹狼に変身し、非日常へとトランスフォーム出来たように、実はメンタルには相当大きな影響を及ぼします。
ニッケンさんによると、ビジネスネームの使用は「公私の区別を明確にすることにある」ということだそうです。おもしろい取り組みだと思いますし、上記のように上田馬之助に変身したい皆さんの要望にも合いますね。
(すいません、ハショリ過ぎですね。「上田馬之助が変身したように、自身のカラを破るような存在感を出したい皆さん」としましょう)
かくいう私、増沢も、普段は至っておとなしい、インパクトの無い空気のような存在だと思うのですが、一旦ステージに上がりますと変身します、金髪の一匹狼に。(もう上田馬之助情報いいですか?すいません)
ステージとは、私の場合、講演とか大学院の授業やセミナーを指しますが。普段の自分が見たらすごいハナにつくような、ポケットに片手を突っ込みながら身振り手振りで教壇狭しと動き回り、学生の席を徘徊したりと、「欧米かっ!」といつもつっこまれます。
(実際私は昔勤めていた会社のイギリス人マネジメントのプレゼンテーションセミナーにいたく感化されました。だから欧米ですっ)
さてオチャラケばかり書いて来ましたが、笑えない状況も出ています。
中央大学の理工学部教授刺殺事件等、悲惨な事件も起きています。芸能人ほど有名で無いにも関わらず、われわれ大学教官等公的職務に就いている者は、その個人を特定し、情報を得るのがきわめて簡易です。インターネット創成期のように自宅など完全個人情報を公開することはさすがに無くなってきたと思いますが、それでもミクシやプロフ等で未成年が飲酒や万引き等を日記に書いたことで炎上等、珍しいことではなくなりました。学校名や地域、登場するお店の名前等から個人探しも容易に出来るようです。
ミクシは本名を名乗らずにやる人が多いでしょうが、ビジネスではいかがですか?ニッケンさんのようなビジネスネームを取り入れているという話はまず聞いたことがありません。
しかし個人セキュリティ上の観点から、また業務遂行上の能力向上という視点から、芸名・ビジネスネームは、バカにならない事態になったのではと思っております。
私も中途半端に自分の名前でやって来ましたので、ビジネスネームへの転換は難しいですね、実際。特に国立大学の教官として、芸名で授業って、どうなんでしょう?
職を失うのが怖いので一度も聞いていません。いつか挑戦しようと思ってます。
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2010.03.20
2015.12.13
株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント
芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。