今年もアイツがやってくる。「変な味のペプシ」。今年は「シソ風味」だという。どんな味がするのか、マーケティングの観点から予想してみると、大きく2つのシナリオが考えられる。
6月23日から2~3週間限定で発売されるペプシコーラは、その名もズバリ「ペプシしそ」。・・・全くひねりがないようにも思うのだが、それは夏の風物詩、毎年繰り返し発売される変わり種ペプシコーラの最新版である。
昨年の夏はパイナップルとレモンフレーバーで、目にも鮮やかな青の「ブルーハワイ」をテーマにした。一昨年夏は「キューカンバー」、つまりキュウリ風味。キュウリといってもその味わいは「欲張ってスイカの白い部分まで食べちゃいました!」的な、うす甘くて青臭いようなフレーバーであった。
つまり、毎回、味はビミョーなのだ。
なぜ、ペプシがそんな変わり種を毎年発売するのか。それは、ペプシが「チャレンジャー」だから。誰にチャレンジしているのかといえば、言わずと知れたコカ・コーラだ。
チャレンジャーの戦略は「差別化」。対して、リーダーの得意技は「同質化」。チャレンジャーが新たなヒット商品を上市すると、優れた開発力で同様の製品をすぐさま開発し、強力な販売力で先行しているチャレンジャーの商品を市場から駆逐する。コーラ飲料の主戦場である「ゼロカロリー」においては、両社は拮抗しているが、チャレンジャーは常にリーダーの圧力に抗う努力を欠かすことはできない。
チャレンジャーの努力が必要なのは製品だけでなく、イメージ醸成においてもそうだ。リーダーのイメージに飲み込まれれば、即ちそれは、リーダーの模倣をするフォロアーと市場からは認識されてしまう。故に、チャレンジャーは必死で、「俺たちは違うんだ!」と自らの差別化要素を訴求する。
変わり種ペプシはその産物であるといえるだろう。見た目にも黒くないコーラ。飲むとビミョーな味わい。でも、話題になる。リーダーの日本コカ・コーラがそんな製品を作るかといえば、決して手を出さないだろう。第一、カラフルな炭酸飲料といえば、同社にはファンタがあるのだ。
そのことから考えると、今年の「ペプシしそ」もビミョーな味わいに仕上がっている可能性が高い。日本経済新聞の新商品紹介欄では<飲むとシソの香りが口中に広がり、後味がすっきいりしている>とある。・・・ホントだろうか?
もう一つのシナリオからすると、実は後味スッキリでオイシイという可能性も高くなる。
昨年は変わり種コーラが晩秋にも発売された。「ペプシホワイト」。ヨーグルト味の白いペプシ。乳性炭酸飲料の風情があった。
変わり種ペプシのことだから、またまた、実はちょっとクセがある味なんだろうと思って飲んでみると、意外にうまかった。実は真剣に数を売ろうという意図も見え隠れしていて、コンビニではずいぶんと商品のフェース数を確保していたし、販売期間も長かったように思う。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。