弱みと向き合うことがマネージャーの出発点

2009.06.02

組織・人材

弱みと向き合うことがマネージャーの出発点

樋口 弘和

よく議論になることかもしれませんが、研修などで学ぶマネージャーとしてのスキルは本当のところどのくらい役に立つのだろうか?という疑問が消えません。

例えばコーチングという手法(?)があります。
私たちも一般的な手法として、これを研修の中に取り入れたりするのですが、なぜこの手法に汎用性があるのかを理解せず、「これが絶対正しいやり方だ!」と
思い込んで、チグハグなことになってしまいます。

コーチングで学ぶ手法のほとんどは、私のいう「ひかり号タイプ」(モチベーションを少なからず上司や会社環境に依存しないと成長できない普通の若者)にはまあまあ上手くいくかな、と思いますが、こだま号(いわばワークライフバランス派)には効果が少ないですし、のぞみ号(自燃型のセルフモチベーター)には、邪魔なだけでしょう。

そういう観点から、私は、「マネージャーと部下のタイプにより、そのリーダシップの発揮方法はいろいろである」という考え方になっています。
(もちろん事業内容や年齢、性などの属人的な要素もあるでしょう)

そこからまずは、相手のタイプに合わせるコミュニケーションの方法を学ぶことが最も有効だと考えるようになりました。

この時点では、自分を押し殺していきます。
上司が部下に合わせるなんておかしなことですね、ですがそういう時代であろうと思うのです。相手に合わせた適応力が身につくと、自分のやり方を押し付ける従来のマネジメントから脱却できます。
そういう意味では、現代マネージャーは適応能力がモノをいう時代だとも言えますね。

実はマネージャーの方々に研修をしていて、面白いことに気がつきます。
一般スタッフのときは自分の強みを活かされて育てられてきたことを忘れ、部下を持つ立場になって、相手の強みを活かすために自分の弱みと向き合う必要性があることに気がつかない人が圧倒的に多いのです。

でも、これは無理のないことかもしれません。
上司という者は、自分のやり方を通せば、部下は合わせてついて来る時代が長かったので、こうした意識変革教育をほとんどの企業ではおこなっていないのです。

実は、自分の弱みと向き合うことは何よりの自己鍛錬であり、育成の王道なのですが、このことに気づき、自ら実践できる人はそんなに多くいないのが現状です。

時代の大きな曲がり角の中で、こうしたことをきちんと教えてからそのポジションにつかせ、フォローするというのは、厳しい時代にとても大事な企業の「しつけ」だといえるでしょう。

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