<携帯電話で「電話をかける」だけで、URLなどの情報がメールで届く>というNTTメディアクロスの新サービスは果たして普及するのだろうか。
昨年から試験運用が続いていた「空電(空電)」が6月15日から本格的にサービスを開始するという。
(NTTメディアクロスのニュースリリース: http://www.nttmc.co.jp/newsrelease090609.html )
リリースによると、同サービスは<(携帯電話ユーザーが企業の)広告などの詳細情報を携帯電話用インターネットサイト(以下、携帯サイト)で閲覧する際に、URLの入力や二次元バーコードの読み取りといった煩雑な作業を行うことなく、「電話をかける」だけで携帯サイトのURLなどをメールで受信できる>というものだ。
「空メール」を送るとアクセス先のURLが送られてくるしくみはずいぶんと普及したが、メールを送るのではなく、電話をかけることで代替しより簡便にしたという意味のネーミングである。
NTTドコモ、ソフトバンク、auの3キャリアに対応しているという。
リリースにはデモンストレーション用の電話番号が記載されている。携帯からかけてみるとIVR(音声自動応答装置)に着信し、メール送信承諾の確認を「1」のボタンで入力するだけで、程なくURLがメール(SMS:ショートメールサービス)で送られてきた。メールのURLをクリックすれば、携帯サイトにすぐに接続できる。確かに便利かもしれない。従来のように2次元バーコードをアプリケーションを起動して読み込む必要もない。「続きはWebで」と、検索キーワードを入力して検索サイトからアクセスする必要もない。ましてやURLを直接入力する手間に比べればまさにラクチンである。
全く新しい概念のサービスなので、ここは一つ、E.M.ロジャースの「イノベーション普及要件」で検証してみよう。
このサービスを受容するか否かで大切なのは、エンドユーザーであある消費者と、このサービスを自社で利用しエンドユーザーに提供する企業の双方の視点である。
■相対優位性…今まで使っていたものと比べ、いかに優れているかが分かりやすいこと。
この点に関しては、ユーザーは前述の通り一度使えば便利さが理解できるので問題ないだろう。企業としても簡便さの提供により、ユーザーからのアクセスアップが期待できるため歓迎だ。
■両立性…当面は今まで使っていたものを捨てることなく、両立できること。
空電の電話番号以外にも二次元バーコードや検索キーワードを並記することもできる。ユーザーは好きな方からアクセスすればいいし、企業としても若干、告知が煩雑になるが大きな問題ではないだろう。特に普及の障害になるとは思えない。
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2008.09.26
2010.04.20
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。