指示命令型カリスマ経営を脱却し、百年続く自立自走型ビジョナリー経営へと生まれ変わる。 しかしそれは、トップが何もかも我慢して権限移譲すればよい、というものではありません。 それは大きな間違いです。
「オグラさんの言う通り、現場に任せたら大変なことになった。
どうしてくれるんだ!」
私の講演を聞き、トップダウンで全てを決める指示命令型カリスマ経営の
弊害を思い知らされた山田社長は、自社へ戻り自らの言動を大いに改めたと
のこと。
管理職を育てるために、社長はじっと我慢し権限委譲をどんどん行い、
自分のパワーを減らすことに集中したそうです。
すると、逆にトラブルが多発するようになった。
お客様からクレームが発生する。
上得意先をライバルに奪われる。
期待していた社員が退職してしまう…。
そしてあげくの果てには売上が激減してしまいました。
「もう我慢できない。奴らに任せていては会社が潰れてしまう!」
堪忍袋を切らした山田社長は、もう一度現場に戻るぞ!
と宣言し、再びカリスマ経営へと戻してしまったのです。
ははぁ…。これは自立自走を勘違いしているな。
間違いを正さないと大変なことになりそうだ。
「山田社長。自立自走型組織をつくるには、完全に任せきりにしてはいけません。逆にこれまで以上にリーダーたちへ口うるさく小言を言い続けることが必要なんです」
えっ、と訝そうな表情の社長。
そこで私は当社の経営スタイルを紹介することにしました。
指示命令型カリスマ経営を脱却し、
自立自走型ビジョナリー経営への生まれ変わりを専門に支援する当社は、
また同時にその先鋭的な実践者でもありたいと考えています。
当社が実践するのは、分社化により三十歳前後の若い四人の社長へ経営を委ねる
自立自走型の組織運営。
しかし、グループを統括する立場の私は
彼ら四人へ経営を任せきりにはしません。
いや、むしろその逆。
分社化してから、四人への口出しは以前の倍以上にも増えました。
一方で、私が劇的に減らしたのは全社員へ対する直接的な関わり。
例えば、朝礼や会議において私でなくリーダーたちが発言する機会を増やす。
そして多くの会議では出席することさえやめたのです。
これは会社にとって劇的な変化でした。
しかし、これだけでは山田社長と同じ轍を踏む。
おそらく会社は滅茶苦茶になり、業績が急降下してしまうでしょう。
そこで私が行っているのは、四人の社長へ対して徹頭徹尾細かく口出しを続けることです。
例えば、
なぜ玄関に落ちているゴミを拾わないのか?
なぜ出遅れている営業マンを放置し相談に乗らないのか?
なぜ完成度の低い資料を顧客へ提出してしまうのか? など…。
目に付いた危険な予兆、あってはならない問題を一つひとつ見つけては彼らへ
改善を要望していきます。
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