すごい! 幻のフリーペーパー『美少女図鑑』のビジネスモデル

2009.07.11

営業・マーケティング

すごい! 幻のフリーペーパー『美少女図鑑』のビジネスモデル

竹林 篤実
コミュニケーション研究所 代表

全国各都市の美少女を集める。美容師がスタイリングし、プロのカメラマンが撮影する。地元の名所で、思いっきりカッコよく撮った写真で構成する。配布と同時に品切れとなる幻のフリーペーパー『美少女図鑑』は、必ず成功する。

Just a Simple, But Very Cool

その街に住む「普通の女の子たち」をモデルに、誰もが見覚えのある「そのエリアの街並み」をロケーションとして撮影するファッション誌。これが『美少女図鑑』のコンセプトである。

制作を支えているのは、自分の作品発表の場を求めているクリエイターたちだ。おそらく新進気鋭のカメラマン、デザイナーが参加しているのだろう。彼らにとっては、自分の力を見てもらえる格好の場を与えられることになる。

美少女図鑑のサイトには「作品を発表するクリエイタ-達による出資で運営されているのも特徴。その趣旨に賛同し、「撮影地協力」「衣裳協力」などのご協力をして頂ける企業に支えられ」とある。企業サイドが協力する意味もよくわかる。というか、金を払ってでも協力したい企業が出てくるはずだ。

はじめにビジョンありき

『美少女図鑑』というタイトルも素晴らしい。一見、際もの的要素もないわけではない。が、何ともそそられるではないか。しかし、表紙を見ればすぐにわかるように、実際はすごくきれいなビジュアル誌だ。だから、これを手にとっていくのは男性より女性の方が多い。オシャレな女の子をがちっと掴んでいるのだろう。

その背景には、きちんとしたビジョンがあるのだと推察する。それは『地元の良さを地元に知らしめる』こと。これを制作元の株式会社テクスファームでは「新潟の街に美少女を増やそう」と表現している。ここで注目すべきは、これを東京にもって行って売ってやろう、じゃないことだ。『美少女図鑑』は、あくまでも地元にこだわるのである。

明確なビジョンが共感を呼ぶ

『美少女図鑑』はフリーペーパーである。クリエイターからの出資があるとはいえ、それだけで運営資金はまわらない。A5サイズで最大80ページ、もちろんフルカラーである。これを2万部印刷して、製本して、配布スタンドに運んでいってとなると、ハードコストもそれなりにかかってくる。

発行日をタイトに設定していないだろうから、たとえば印刷ならコストを日本の半額以下に抑えられる韓国に持っていけばいい。制作にしてもカメラマンにわざわざ予定を組ませるのではなく、仕事の空いている日に撮ってもらえばいい。といった工夫はしているだろう。

が、それでもコストはかかる。これは広告で十分にまかなえるはずだ。残念ながら現物が手元にないので想像での話になるが、誌面のクォリティを落とさずに、そこそこの価格で広告スペースを売ることは十分にできるだろう。それぐらい明確で、地元企業が賛同できるビジョンであり、だからこその仕上がり(サイトにアップされているモノを見る限りでは)にもなっている。

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