優先順位をつける人は仕事ができない

2009.07.25

組織・人材

優先順位をつける人は仕事ができない

小倉 広

「後でやろう」 そうやっていろんなものを後回しにし、結局やらずに今に至る…なんてことはありませんか? 仕事ができる人は仕事に優先順位をつけない。 世の中のセオリーとは違うオグラ流のセオリーをご紹介。

「皆さん、僕が昨日メールで送った『仕事に役立つ日経新聞記事』。
もう読みましたか?」

と朝礼で話す僕。サッと全員の手が挙がった。と書きたいところだが、実際は…
パラ、パラ、パラ。15人ほどの手が五月雨のようにあがった。

そしてそれがすべてだった。なんと残りの25人つまり当社の半数以上の社員が、僕の送った記事を読んでいなかったのだ。

僕はその記事を引用してスピーチをしようと思っていたのだが、一気にやる気が
失せた。
当社の社員に話すべきはそれじゃない。それ以前の大切なことを教えてあげなく
てはならないのだ。私は話題を切り替えて、こう語りかけた。

「仕事ができる人は、仕事に優先順位をつけないんだよ」

例えば、先ほどの「新聞記事」の一斉メール。もしも、日中の忙しいさなかに
それが届いたとしたら、あなたはそのメールをその場で読むだろうか?それとも、時間がある時に後で読むだろうか?

いや、選択肢の設定が間違っていたので修正したい。

あなたは、その場で読むだろうか?それとも「後で読もう、と言い訳し、結果的に一生読まずに放置するか?」のどちらだろうか?

そう。「後でやろう」と後送りしたことは、ほとんどが実現されない。
「来週から禁煙しよう」という人が、実際に禁煙に成功することは無いのだ。

上司から仕事を頼まれたなら。メールが届いたなら。偶然誰かと出会ったなら。
新しいアイディアが思い浮かんだなら。そのタイミングを「運命」ととらえ、
その場でそれを片付けることだ。

中途半端に頭がいい人は、仕事に優先順位をつけ「やることリスト」をずらりと
並べる。例えば、先ほどの「新聞記事を読む」も、おそらく彼のリストに追加されたことだろう。

しかし、そのリストの最後尾に加えられたタスクはへたどり着く前に、あなたは
さらに新たな「やること」を次々と追加し続けるだろう。そして「新聞記事を読む」タスクはまたさらに後方へと押しやられるのだ。

つまり、最後尾の仕事は永遠に実行されない。仕事とは本来、そういうものなのだ。

仕事ができる人は、メールを開いたら「後で」ではなく「その場で」返信を打つ。
誰かと食事をしましょう、となったら「そのうち」ではなく「その場で」食事の
日取りを決める。これが、仕事ができる人の行動パターンだ。

本当に大切な仕事のほとんどは、締切が無い。つまり「緊急」ではない。
しかし、「緊急でない重要事項」をどれだけ成し遂げたか、でその人の人生が決まる。

「緊急事項」にばかり追われている人は、ストレスに押しつぶされ、自分の
人生を自分でコントロールできないままに一生を終わるのだ。

そうなりたくないのなら「緊急でない重要事項」に出会った時には、すぐその
場でその仕事を片付けるべきだ。締切の無い重要事項に日付を入れ、その場で
すぐに処理してしまうのだ。

そうすれば、あなたの未来は変わっていく。幸せな人生へと一歩ずつ近づいて
いくだろう。

「仕事に優先順位をつけるな」

世の中のセオリーとは逆だが、一つの真理である。

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