アメリカのスタバが業績回復しているらしい。その原因がなんとトヨタ流カイゼンを取り入れているからだという。日本ではまだ、のようだが、スタバのカイゼンはどんな効果があるのだろうか。
Theストップウォッチ
トヨタ流のカイゼンといえば、そのシンボルアイテムがストップウォッチだ。一つ一つの作業をまず計測することからカイゼンは始まる。じっと作業を観察し、その時間を計る。見ているうちにムダを見つけるのが、カイゼン仕事人たちである。
以前、どこかで読んだ話ではデザイン事務所のカイゼンについて書かれた下りがあった。ウェブデザインを手がけているオフィスでカイゼンのプロたちは、やはりストップウォッチ片手にデザイナーの動きを計測していたのだという。
するとたちまちのうちに、大きなムダが見つかった。そのムダとは何か。数年前の話である、当時はまだパソコンが今ほどパワフルではなかったのだ。なので一つ作業をインプットすると、その処理に幾ばくかの時間がかかる。例えばフォトショップでちょっとした画像加工などをすれば、すぐに1分ぐらいは経ってしまう。これをカイゼン人たちは見逃さなかった。
もう一台、パソコンを
1分もぼやっとしている。トヨタの工場なら、それこそはりたおされかねない時間のムダである。この空き時間をどうすれば有効活用できるか。カイゼンプロフェッショナルたちの出した答えは、もう一台パソコンを入れることだった。
単純にデュアルモニターにするのではない。PCも二台、モニターも二台、もちろんキーボードも二台にするわけだ。そして片方のパソコンが時間のかかる処理をしている間に、もう一台のPCで次の作業に取りかかる。
そりゃむだも省けることだろう。あくまでも机上の計算だけれど、仮に一つの作業に5分かかり、そのたびに1分のロスが生じていたとする。ということは1時間につき約10分ものロスとなる。これを解消できれば、その改善効果は約17%にもなるではないか。
「おぉー、すごい」とデザイン事務所のボスが言ったかどうかまでは知らない。それで良しとするスタジオがあったとしても、まあ不思議ではない。
効率だけでいいのか?
さて、スタバである。どんな改善がなされたかといえば「商品の材料をできるだけまとめ、コーヒーの種類が一目で分かるように色別のラベルを張るなど、無駄を省くための努力をストップウォッチ片手に地道に進めた。オレゴン州の店舗では、一つの注文をさばく時間を平均25秒まで短縮、客も増えたという(日本経済新聞2009年8月6日付朝刊7面)」
ほんまかいな。そりゃ確かに「オレゴン州」の(ある)店舗では作業時間が25秒短縮され、客も増えたかもしれない。が、少なくともこのニュースからわかるのは、それだけだ。ほかの店舗では、どれだけのカイゼン効果があったのだろうか。あるいは、一つの注文時間をさばくのに、そもそもどれだけ時間がかかっていたのだろう。あるいは、客をさばく時間が早くなれば、客が増えるのだろうか。
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