明治製菓のガム・キシリッシュ。ド派手なパンツを男女合計全30タイプを1,000名にプレゼントするキャンペーン「イキパン」が今年も帰ってきた。
CMでイメージキャラクターの木村拓哉が「今年も?」と困惑の表情を見せつつも、今年も8月4日からキャンペーンが始まった。題して「イキパン2」。
メンズ、レディースのド派手なパンツ30種。Ray、Fineなどのファッション誌や東京ガールズコレクションなどとのコラボ作品もあり、とってもオシャレ。
と、ここまでは昨年通りだが、今年は夫婦イラストレーターユニット・山根 Yuriko 茂樹や、ファッション界の大御所・山本寛斎までを担ぎ出し、さらにパワーアップの様相を呈している。
キシリッシュといえば、今年、製品仕様の変更を行ったばかりだ。「TASTE LONG!!おいしさ、長持ち!!」として、一粒の味が長持ちするという「お得感」を全面に打ち出したのだ。財布の紐が固くなった消費者の購買心理に迅速に対応した結果だといえるだろう。
キシリッシュは消費者ニーズに合わせて、今までにも何度も機能強化を繰り返してきた歴史がある。キシリトール配合で、虫歯になりにくくするという基本性能はもはや昨今のガムではアタリマエ。メインメッセージを「息がキレイになる」とし、その機能を強化した。そして、それが長続きするという機能強化に至ったのだ。
一方で今年はガム市場に一つのエポックなデキゴトがあった。
日経MJのヒット商品番付にも取り上げられた大ヒット・ガムのロッテの「フィッツ」。フィッツには虫歯予防も口臭予防も、何の機能もない。ただ、若者の「何か、ガムって固くね?」という、ニーズギャップに応えたのである。
キャッチコピーは「噛むとフニャン」。若者好みのやわらかな触感にこだわった製品を作ったというわけだ。CMは佐々木希と佐藤健の「フニャフニャダンス」が楽しさを盛り上げ大人気となった。
若者はガムには機能を求めていなかった。楽しい気分を演出するという役割が求められていた。フィッツは見事に、その潜在ニーズを顕在化させ、ガムとしては未曾有の売上げを記録している。
キシリッシュは機能満載だ。しかし、若者の関心はそこにはない。そこでこのキャンペーンが俄然、意味を持ってくる。
「息」と「イキ(粋)」の掛詞はコドモではなく、ちょっとオトナな遊びゴコロを演出する。
「吐息」は異性をやんわり意識したエチケットの提案。「下着」は 堂々とモロに異性を意識するファッションの提案。
恋が熱く燃え上がる真夏から、愛が深まる晩秋11月末までのキャンペーン期間中、「イキパン」が当るか当らぬか、恋が実るか深まるかとのドキドキワクワクが相まって楽しさを演出してくれる。「キシリッシュは機能だけではないですよ~。楽しい人生のお供ですよ~」というメッセージが伝わってくる。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。