評価の技を勉強する前に、評価者とはどのような側面があり、どのような心構えが望まれるのか、を知る必要があります。
マネジャーとなって部下を持つと、大抵は半年に一度、部下の評価をすることになるわけですが、メンバー時代と何も変わらない意識で「仕事だから、よく分からんけれども評価しないといけない」くらいの感覚でそれに臨む人が少なくありません。評価者には3つの側面があり、それを十分に認識して取り組むべきです。
まず「権力者の顔」
評価の結果は本人の昇給や賞与、昇格などに反映されます。つまり本人の処遇やひいては生活に影響を与えます。
「どうだ、俺は評価という権限を持っているんだ。バッチリとチェックしてやるぜ!」というような勘違いはもってのほかですが、逆に、処遇の決定に参加している重さを意識せずにいるのも問題です。人事制度の理解はもちろん、権限を行使するに値する高い意識と評価の技の習得が欠かせません。
次に「代弁者の顔」
評価には調整がつきものです。職種や部門・拠点などが異なるものをどのようにしてフェアに評価するかは容易でない課題ですし、結果が出るまでのプロセスにおける個別の諸事情を勘案することも納得性を高めるためには非常に重要であり、評価結果の決定にはこれらを視野に入れながら、全社的観点に立って調整することが必要です。
こういう場で本人になりかわって、主張すべきを主張するのが上司の大切な役割と言えます。
三つ目は「支援者の顔」
目標を設定してから評価の時期が来るまで、その達成に対してアドバイスやサポートをせずに見ているだけでは、当然、上司失格です。
評価をする立場になったとは言え、達成に向けて惜しまず協力すべき立場であることは、それまでと何も変わることはない、というより更にその達成に対してコミットしていくべき立場になっていると考えるべきです。評価者というのは、ただ点数をつけるだけの審査員ではないことを肝に命じなければなりません。
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2010.03.20
2015.12.13
NPO法人・老いの工学研究所 理事長
高齢期の心身の健康や幸福感に関する研究者。暮らす環境や生活スタイルに焦点を当て、単なる体の健康だけでなく、暮らし全体、人生全体という広い視野から、ポジティブになれるたくさんのエビデンスとともに、高齢者にエールを送る講演を行っています。