今回は、純粋な書評です。 マーケティング戦略において、 ターゲットを考える際に最も役立つ理論が 「イノベーター理論」 です。
マーケティングコンサルタント、森行生氏の最新作、
「ヒット商品を最初に買う人たち」
(森行生著、ソフトバンク新書)
では、まるごと一冊、この「イノベータ理論」、
特に、流行を生み出す「イノベータ」に焦点を当てた議論が
展開されています。
「イノベータ理論」とは、新しい商品を誰が買い、
それがどのように広がっていくかを説明するもの。
本書では、新商品に真っ先に手を出す少数の人たちを
「イノベータ」、イノベーターに続く人たちを
「アーリーアダプタ」、最後に買う人たちを「フォロワー」
と3つのセグメントに分けます。
さらに、森氏のイノベータ理論では、
これまでイノベータ層の中に含まれていた
「マニア」層
を区別し、
「マニア層」と従来の「イノベーター層」
の心理や行動面の違いを指摘しています。
新商品が売れるためには、まず「イノベーター層」が
飛びついてくれることが必要ですよね。
しかし、いわゆるオタク的な心理や行動を持つ「マニア層」
だけにしか受け入れられなかった商品は、大ヒットに結びつく
ことはありません。
したがって、新商品の初期購入者がマニア層にとどまっているか
どうかを見極めることは、新商品の将来性を占う最初の試金石と
なります。
本書では、こうした森氏オリジナルのイノベータ理論に基づき、
花王ヘルシア、ニンテンドーDS、アップルのiPODなど、
具体的な事例を挙げながら、なぜ、ある商品は成功し、
あるいは失敗したのかを明快に分析しています。
また、森氏は、「従来型イノベータ」とは異なる行動を取る
「革新型イノベータ」
と呼べる層が存在していることを本書で初めて明らかに
しています。
「革新型イノベータ」は、従来の常識や商品のイメージに
とらわれず、新たなルールで行動する人たち。
逆に言えば、これまでのルールを壊してしまいます。
ですから、「革新型イノベータ」の心をつかむことができれば、
従来のルールにおいては最強だった競合他社商品を打ち負かす
新たなヒット商品を生み出すことができるかもしれません。
著者の森行生氏は、代表作の
「シンプルマーケティング」
(森行生著、ソフトバンクリエイティブ)
や、長年にわたって発行されているメールマガジンでは、
極めて濃厚な議論を展開してきました。
文章はとても読みやすいのですが、書かれている内容自体は、
高度で緻密なため、読み手にも相当の覚悟が必要です。(笑)
しかし、本書は、初心者向けにさらにわかりやすく、
平易に書かれています。
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2007.06.30
2007.08.09
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。