会社や経営者への不信感、反発が爆発的エネルギーを呼ぶ、そんなことはないでしょうか? 身近に起きている例で、プロ野球パリーグがおもしろそうなので、「ネゴシエーション」の視点からクローズアップしてみます。
プロ野球のクライマックスシリーズ、パリーグ楽天が盛り上がってますね。
三位から這い上がって来た楽天が、シーズン中なのに野村監督を解任ということで、野村氏や、野村監督を支持する選手たちが反発。逆に頑張って、逆転優勝をして、楽天球団に恥をかかせてやるイキオイで快進撃してます。
単なる試合よりぐんとおもしろみを増す味付けです。日本人好きな判官びいきからすれば、会社を見返せ、野村!と応援したくなるところです。(ちなみに私は特に野村ファンでもなんでも無いです)
ソフトバンクを圧倒した楽天はいよいよパリーグ優勝をかけて日本ハム戦を迎えます。観客動員もすごいこと期待されてますが、実際もりあがるでしょう。
このように「追い込まれた」人のパワーはあなどれません。交渉やコミュニケーションも同じです。
交渉はディベートでは無いのです。「勝ち負け」は関係ありません。戦略目標が達成できるか出来ないか、だけが重要です。
つまりその目標達成に邪魔になるものは極力排除する必要があるのです。こうした追い込まれた人が、反発するエネルギーを絶対に侮ってはいけません。
私の会社では人事コンサルティングを行っておりますが、不況の昨今はもちろん、まだ景気がしぼむ前からも、実はかなり多く「リストラ」実施についての相談が多くありました。
ネゴシエーション、コミュニケーションの課題として、人の人生に関わる問題であるところのリストラは、極めて重大な交渉であり、そのプロセスは慎重の上にも慎重さが求められます。
私は法律家ではありませんので、最低限必要な労働法知識は絶対欠かせないものの、こうした過酷な交渉の中では法律だけではさばききれないものが必ず出てきます。
人間心理です。
ここを押さえなければ絶対に交渉は成り立ちません。相手がなんとなくハンコを付いたから終わり、では無いのです。誠意をもってあたるのは最低限の前提に過ぎず、それ以上に相手を納得させる十分な交渉が欠かせません。「納得」を得られないものは交渉ではなく、一方的な通告です。
このまま楽天がどうなるか、野村監督は仮に優勝出来ても辞めることでしょう。そうなった場合の楽天の企業イメージ、コーポレートブランドはどうなるのでしょうか?
阪神タイガースは、「伝統」とも呼ばれる監督人事をめぐるお家騒動で有名です。しかし阪神ファンが、特に監督問題で激減したという話は聞きません。それはまず阪神電鉄のビジネスドメインがインフラ業界であるということ、さらに何より球団そのものの伝統があることが大きいでしょう。
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2010.03.20
2015.12.13
株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント
芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。