2009年10月14日公認会計士協会主催のシンポジウムに国際会計基準審議会(IASB)議長が自ら講演を行ないました。議長が日本に向けて発信したメッセージとは。
本サイトへの投稿記事は
aegifの国際会計基準専門ブログ IFRS of the day(http://aegif.typepad.jp/ifrs/)より引用しております。
2009年10月14日、「IFRSで日本の企業経営は大きく変わる」というテーマで
国際会計基準(IFRS)シンポジウムが経団連会館で開催されました。
このシンポジウムにはデイビッド・トゥイーディーIASB議長が講演を行いました。
IASB議長というのは非常に多忙で
(この日も午前と午後に日本で講演をした後に、
ロンドンにとんぼ返りで日本時間で午前3時からのIASB会議に出席するという
スケジュールだったそうです)
日本で講演を聴けるというのはそうあることではありません。
今回の講演で議長は
「IFRS:単一のグローバル会計基準を目指して」というテーマで
IASBが何を目指し、現在どのような状況にあるのか、
そして、IFRS適用の方向性を決定した日本に対するメッセージを述べていました。
その中で興味深かったのは、
日本のIFRS適用にあたってIASBは全面的にサポートをする、
ということを強調していた点です。
IFRSを適用するには解釈を巡って混乱が生じたり、今までの考え方と異なるため戸惑うことがたくさん出てきます。
IASBとしては日本の適用準備に対応する専任のメンバーを用意し、
適用にあたっての様々な問題を解消できるようにサポートするということでした。
また、日本で問題になったことを解決するために
IFRS自体を改訂、新基準書を作成する可能性もあるということを
示唆しました。
議長がわざわざ日本に来て全面的なサポートをするということを
表明したことにどのような意味があったのでしょうか。
IASBとしてはやはりIFRSがグローバルな基準として機能していくには
アメリカと日本の適用が必須なのです。
現状ではどうしてもEUの影響力が大きいということがあります。
IASBとしては他の大国が参加することで、
バランスを取りたいということがあるようです。
また、単一の会計基準として機能するには、
各国で細則を設けたり、一部の基準書を適用しなかったり、という
勝手をやってほしくないということがあります。
日本では細則主義の日本基準に慣れてきているせいもあって、
どうしてもIFRSの実務指針みたいなものが欲しくなってしまいます。
そのような動きはIASBとしては阻止したいのです。
日本版IFRSや、ヨーロッパ版IFRSが次々とできてしまったら
国際会計基準を適用する意味がなくなってしまいます。
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