すでに各所で騒がれているのでご存じかと思いますが、米連邦取引委員会(FTC、日本でいう公正取引委員会)は、人が推奨する形の広告に関するガイドラインを修正し、クチコミ広告が広告であると明示することとしました。ガイドラインの改訂は1980年以来29年ぶりで、2009年12月1日から有効となります。
情報開示はだれのため?
すでに各所で騒がれているのでご存じかと思いますが、米連邦取引委員会(FTC、日本でいう公正取引委員会)は、人が推奨する形の広告に関するガイドラインを修正し、クチコミ広告が広告であると明示することとしました。ガイドラインの改訂は1980年以来29年ぶりで、2009年12月1日から有効となります。
今回の変更により、消費者や有名人が商品やサービスを使った体験を語る場合に、実際に使っているわけではない場合はそれを明示する必要があるとされています。これまでのような「一般的な結果です」といった逃げ道が許されなくなった形ですね。
また、新たに、消費者をだますような広告に関する内容も追加されています。具体的には、広告主がブロガーなどに報酬を支払ったり商品を無償提供したりしている場合には、消費者にわかるようブロガーが明記する必要があるということ。同様に、企業が調査データを紹介する際にも、自社が協賛して行われた第三者調査であれば、自社と調査団体との関係を開示することとしていますし、有名人による商品のお薦めなども同様。しかも、マスメディアだけでなくソーシャルメディアなどでも、金銭や商品の授受がある場合はそれを開示することとしています。
米国内での報道によると、ガイドライン違反1件につき最高で1万1,000ドル(100万円)の罰金を科すとのこと。
もちろん、この件は米国内を対象としたものですが、広告やクチコミに対する社会の流れがこのように動いていることは、何らかの形でマーケティングや情報提供に携わる人間は理解しておくべきでしょう。
今回の改訂は、「消費者を欺くのはNG」というものなので、非常にわかりやすいし、対応も原則としてシンプル。嘘をついたりごまかしたりしなければいいのですから。
ブロガーは金銭を受け取っていたり、商品やサービスを提供してもらったりしている場合は、その旨明記すればいい。依頼する側は、必ず明記するようにブロガーに釘を刺せばいい。すべての情報を、身内に対して伝える場合と同様の意識で出せばいいのです。ブログに書くことで100円もらえるとしても、自分の親や自分の子供が書かれている内容をそのまま信じて行動することを想像した場合に不安に思うのなら、だれにでもわかるように背後の情報を書いておけばいいのです。
ブロガーも広告主も代理店も、「この記事は商品の提供を受けて書いている」といった記述に対して、最初は抵抗があるでしょう。でも、これが世の中の流れなのです。この改訂の良いところは、ブロガー側にもクチコミ広告に対する意識が生まれていくことでしょう。ブロガーとはつまり、別のシーンでは消費者となる立場の人なので、時間の経過とともに、情報開示が成されていること・いないことの意味を理解する人が自然に増えていくということになります。つまり、不誠実なコミュニケーションを行っている企業やブロガーに対する消費者の不信も、自然に増えていくということ。
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2015.07.10
2015.07.24
安田 英久
株式会社インプレスビジネスメディア Web担当者Forum編集長
企業のウェブサイト活用やウェブマーケティングに関するメディア「Web担当者Forum」(http://web-tan.forum.impressrd.jp/)を運営しています。