中国の自動車生産台数が1000万台を突破した。かつての自動車大国アメリカが没落し、つかの間世界一となった日本をも追い抜くとき、日本の悪夢が始まるのではないか?
年間予想Max1300万台
前年同期比32%増。世界的な不況もなんのその、中国の自動車生産台数が恐ろしい勢いで伸びている。今年9月までの生産台数が961万台、アメリカがわずかに390万台、日本が463万台(日本は8月まで)。日本の倍もある(データは日本経済新聞2009年10月21日付朝刊より)
このままの勢いを中国が保つとすれば、年間生産台数は「1250万台から1300万台(前掲紙)」にもなる。この数字は、全盛期のアメリカに迫るほどだ。
注目すべきはトレンドである。2000年以降のデータをみれば、米国は若干の下がり目傾向が昨年からがけを転げ落ちるようにダウン、日本は微増傾向だったのがやはり昨年から急落、そして中国だけは右肩上がりを続けている。
裾野の広い自動車産業
これが何を意味するのか。言うまでもなく、自動車産業は極めて裾野の広い産業だ。だからこそトヨタが風邪を引くと、日本の多くの企業があっというまに瀕死状態に陥ってしまう。
産業機械メーカーなどは、依然として前年対比で受注が40%に達しないぐらいである。ある筋から聞いた話では、名古屋近辺のパーツメーカーの中には、今年初めぐらいの時点でトヨタからの発注量が3%になってしまったという。3%ダウンではなく3%、つまり97%ダウンである。
同じくつい最近お話を伺った自動車用パーツ関連メーカーの社長は「去年の9月以降で事業環境が非連続的に変わった」とおっしゃっていた。とにかく今年上半期は、荒波に翻弄される小舟みたいな状態で、方向感も何もなく、船から振り落とされないようしがみついているだけで精一杯だったと。
逆もまた真なり。中国ではいま、景気よく自動車が作られている。つまり非常に多くの企業が、その恩恵を受けているはずだ。
自動車はコストハーフの競争へ
これまで中国では精密部品を作るのが難しいと言われてきた。あるいは日本製のような精緻な金型を作れるようになるまでは、まだまだ時間がかかるといった話もまことしやかにささやかれてきた。が、いつまでも、そんな状態が続くはずがない。
歴史は必ず繰り返す。ハイアールの技術力の高さをみて、三洋の首脳が驚いたのと同じことが今後、自動車パーツの世界でもきっと起こるだろう。すでに「エンジン部品の錦州万得工業集団などは世界自動車大手の大半に部品を供給(前掲紙)」しているという。
この事実の意味するところをしっかりと受け止める必要がある。つまり中国製のパーツでも、世界の大手自動車メーカーは作れてしまうのだ。では、中国製のパーツのコストはどうなるのか。前述のパーツメーカーの社長さんは「今後、自動車パーツに限っていうなら、間違いなくコストハーフの時代が来る」とおっしゃっていた。
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