その名を「VIA(ヴィア)」という。スタバがアメリカで新発売したインスタントコーヒーである。あえてカニバリゼーションにつながりかねない商品展開に踏み切った背景は何だろう?
スタバのインスタントコーヒー
「店内での入れ立てのコーヒーと遜色ない味(日経MJ新聞2009年10月9日付)」がセールスポイント。スタバが初めて出したインスタントコーヒー「VIA(ヴィア)」はシュルツ氏が自慢するほどの味、しかも1杯あたり1ドルを切る価格設定となっている。
「スターバックス店内では最も安いコーヒーでも1杯2ドル程度するため、その半額となる(前掲紙)」。にしても、インスタントとしては十分高いとは思うけれど、とりあえずスタバがインスタントコーヒーを出したことにニュースバリューがある。
実際に買って飲んでみた人の感想がブログにある(→ http://ameblo.jp/his-seattle/entry-10225049153.html)。これを読む限り、純粋なインスタントコーヒーのようだ。つまり簡易ドリップ式でさえなく、顆粒をお湯で溶かすだけ。ネスカフェとまったく同じだ。
その感想に曰く「お店で買うスターバックスと同じまでには行かないながらも、その辺のインスタントコーヒーより何倍もおいしいリッチな味マグカップ。ブラックでもとっても飲みやすく、どことな〜くナッツの風味が漂います。スタバのコーヒーを安く、手軽に飲めるので合格です!」とある。
味はホントに良いみたいで、なかなか興味深い。
相当においしいインスタントコーヒー
確かに味についてはシュルツ氏もかなり自信があるようで、妻にこっそりヴィアを使ってみたがばれなかったという。いつもは本物のスタバのコーヒーを入れていたにもかかわらず、味の違いを見抜かれなかった。ヴィアの味は相当においしいということなのだろう(まさか、スタバオーナーの奥さんの舌が鈍いということはないはずだ)。
といわれると、早く飲んでみたいと思う。が、残念ながらヴィアは今のところ限定販売である。今年3月からシアトル、シカゴ、ロンドンで試験販売を行い、いよいよ10月からアメリカ・カナダのスタバと小売店のコストコなどでも売り出されたようだが、日本での発売予定は未定らしい。
記事によれば「同社は約20年前にインスタント市場への参入を検討したが、技術的な問題が十分にクリアできず商品化を見送っていた(前掲紙)」とある。つまり20年かけてさまざまな問題を解決したわけで、相当な自信作だと見て良いのだろう。
カニバリゼーションは起こさないのか?
こうした商品が出た場合、まず頭に浮かぶのはカニバリゼーションリスクである。この商品ヴィアは「スタバの味(それもシュルツ氏の奥さんが見分けられないぐらいおいしい)を、店で飲む場合の半額以下で味わうこと」ができる。しかも粉末インスタントとあれば、フィルターを使って手間をかけてドリップする必要もない。
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