2009.11.16
グーグルはバナー広告の世界も変えようとしている Campaign Insightsで
安田 英久
株式会社インプレスビジネスメディア Web担当者Forum編集長
グーグルは、どうやらバナー広告の世界に大きな一石を投じようとしているようだ。
Campaign Insightsで
グーグルは、どうやらバナー広告の世界に大きな一石を投じようとしているようだ。
以前に「広告効果測定をまだCTRだけでやってるなんてバカじゃない?」というコラムで、バナー広告を見ることが、そのユーザーのブランドサイト訪問やブランドキーワードでの検索を「大きく引き上げる」効果があるといったことをお伝えし、アドワーズに新しく追加された「ビュースルーコンバージョン」という項目に関しても触れた。
グーグルは10月19日に、この「ビュースルー」に関するさらなる機能「Campaign Insights(キャンペーン インサイト)」の提供をスタートした。この機能は、わかりやすくいうと、ディスプレイ広告に接触したユーザーがサイトを訪問するなどの動きをどれくらいしているかを、広告に接触していないユーザーと比べて測定することで、クリック以外の広告効果を調べるもの。Campaign Insightsは、現時点では米国と英国の一部の大規模な広告主向けだけに提供されている。
Campaign Insightsの基本的な方法論
※Googleの資料を元に編集部で作成
Campaign Insightsは、少なくとも数千人の特定の広告に接触したユーザーと、広告に接触していない同じ数のユーザーの間で、検索行動や広告主のサイトへの訪問に大きな違いがあるか調べてくれる。行動データは、広告システムの情報だけでなく、Googleツールバーでアクセスしたサイトの情報を送信するよう設定したユーザーの情報も利用される。
これまででも、認知目的のネット広告を大量に露出することで、購買などのコンバージョン部分の実績に変化があれば、広告の効果を(ある程度は)測定できてはいただろう。その手前の「サイトに訪れる」部分の数値上の変化も、アクセス解析などで測定できていた。しかし、そういったデータは広告以外の要素の影響を受けている。Campaign Insightsは、広告に接触していた人のデータとそうでない人のデータを比較することで、「この広告の影響」に限定して測ることに成功している。
残念ながら、日本では未だ広告をクリック数だけで判断する傾向がかなり強い。経済状況が悪く、中長期の効果のための予算を削って、短期的な刈り取りを強化している昨今ではなおさらだ。しかしそもそも広告とは、「見た人にクリエイティブで影響を与える」力をもっているものではなかっただろうか。
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安田 英久
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