2007年の「生キャラメル」発売以来快進撃を続けてきた、タレントの田中義剛氏が経営する北海道の「花畑牧場」が、8月末の工場閉鎖に続いて店舗網の縮小を始めたようだ。
<ついにハジケ始めた田中義剛花畑牧場バブル>(livedoorニュース・ゲンダイネット091122)
http://news.livedoor.com/article/detail/4464115/
ニュースを受けてネット上では、メディアでの田中氏の商品宣伝への反発から「メシうま(他人の不幸で飯がうまい)」的な反応が相次いでいる。そして、「急拡大しすぎで当然」「北海道限定でなければ意味がない」といった意見も散見される。
果たして、事業としての成否は分らない。前掲の記事によれば、売上げは<09年3月期は143億1500万円>だったという。このまま事業を漸次撤しても、高い商品価格を設定して早期に投資を回収して利益を残す「スキミングプライシング(上澄み吸収価格)」を基本とした戦略であったかもしれないからだ。但し、それにしてはネット上の指摘通り業容を拡大しすぎているように思えるが。
事業の成否はともかく、「花畑牧場ブランド」に対する消費者のイメージが大きく変容していることは確かだ。
今年1月にコア・コンセプト研究所・大西宏氏がBlogにて出張の折、千歳空港で目にした「花畑牧場生キャラメル騒動」を目にして<大丈夫だろうか?花畑牧場>という記事を掲出していた。
(http://ohnishi.livedoor.biz/archives/50891288.html)
<まるで花畑牧場が千歳空港ロビーをジャックしたようで、ちょっとイメージの過剰さを感じてしまいます>といい、さらに<花畑牧場生キャラメルカフェやホエー豚亭でセットメニューをオーダーすれば、そこのレジですんなり並ばずに生キャラメルを購入できるというのは、2階ロビーの人の列はなになのかという疑問を感じてしまいます>と記している。
同氏は1月の時点で<ブランドとして離陸の段階から維持継続、さらに成長と進化の段階に入ってきていると思えます。この切り替え、戦略シフトができるのかが今後の焦点になってくるのではないでしょうか>と分析している。
花畑牧場が選んだブランドとしての「維持継続、さらに成長と進化」は「東京進出」という結論であった。<花畑牧場は2月に東京に進出し、渋谷、青山、銀座など8カ所で直営店をオープンさせた>(livedoorニュース・ゲンダイネット)。その事業内容は、カフェやホエー豚メニューの展開であり、生キャラメルとの抱き合わせ販売には、前掲の大西氏同様に多くの消費者が違和感を持って度々ネットでも指摘されてきた経緯がある。
やはり「急拡大によるブランド価値の希釈」という側面は否めないだろう。
さらに、東京進出には規模の拡大と北海道限定の希少性がトレードオフされた点も否めない。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。