「洗濯機市場」のガラパゴス化?・・・に学ぶもの

2009.11.26

営業・マーケティング

「洗濯機市場」のガラパゴス化?・・・に学ぶもの

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 インターネットリサーチの株式会社アイシェアが洗濯機に関する調査報告を発表した。


 <洗濯機の新製品価格に物申す!>
 http://release.center.jp/2009/11/2401.html

 調査結果によると<本音が見えた!?女性の9割「洗濯機の新製品は高い」!~使用者の7割が!現在使用中の洗濯機に「不満がある」>という。家電メーカーの担当者にはショックであろう。
 「不満」が7割とする内訳は<使用中の洗濯機に「とても満足している」人は25.3%と少数。「おおむね満足している」が59.4%と高く、「満足していない(15.3%)」を合わせると74.7%もの人が、何らかの『不満がある』とした>である。
 「おおむね満足」=「何らかの不満足の表明」としているので数字の解釈は微妙だが、「不満足理由」の選択肢には全員が回答しているので確かに不満はくすぶっているのかもしれない。その不満点の主なものは<最も多かったのは「運転音がうるさい」の37.2%。以下「洗濯時間が長い(27.3%)」「水の使用量が多い(21.5%)」「洗濯物が絡まる(20.3%)」の順>だという。意外にも基本的な部分での不満足が多い。

 不満によってすぐに買い換えるかというと<現在洗濯機の購入または買い換えを「考えている」人は回答者全体の18.3%>と、必ずしもそうではない。景気の停滞による節約志向が買い換えを躊躇させているのかもしれない。
 調査項目である「新製品の価格に対する評価」も関連しているだろう。<「とても高い」と答えた人は39.1%、「少し高い」は45.2%で、合計84.3%もの人が『高い』と回答。「ちょうどいい」は14.5%で、『安い(「少し安い」「とても安い」の合計)』はわずか1.3%>であるという。

 一般に製品の価格は機能を機能向上によって比例して高くなる。自動車の価格が安全基準の高度化によって車体の大型化とともに高くなっていったのと同じだ。自動車は若年層の「クルマ離れ」といわれて久しいが、原因はケータイやゲームなどに興味が移ったことよりも、車体価格の高騰によって手が出なくなったという意見もある。生活必需品の洗濯機が買われなくなることはないが、買い換え年数の伸長の原因にはなるだろう。自動車の使用年数はついに8年を超えたようだ。上記の調査によれば洗濯機も10年越えで使用している人が18.1%いるという。

 調査では「とても満足している」という25.3%の満足理由が示されていないのが残念なのだが、洗濯機の高機能化はどの程度支持されているのか気になるところだ。携帯電話は通信機キャリアからの販売奨励金の廃止に伴う販売方式の変更で、端末価格が高くなった。ユーザーが容易には機種変更ができなくなった。それと同時に、「機能満載でなくてもいいからもっと安い機種を」と望む声も徐々に高まっている。使わない、使いこなせない機能も多すぎるとの不満の声も少なくない。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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