2009.12.01
モスバーガーのモバイル戦略とユニメディア
山本 亮二郎
『モスバーガー』で親しまれる株式会社モスフードサービスのIR資料を読むと、「携帯サイトの大幅なリニューアル強化」「携帯メール会員を活用した販売促進活動の推進」という記述が前期から頻繁に登場している(『第4回 ベンチャー企業のビジネスモデル』)。
『モスバーガー』で親しまれる株式会社モスフードサービスのIR資料を読むと、「携帯サイトの大幅なリニューアル強化」「携帯メール会員を活用した販売促進活動の推進」という記述が前期から頻繁に登場している。同社の携帯メール会員数は2009年9月に200万人を超え、キャンペーン情報の発信などきめ細かい対応に寄与しているという。
すでに多くの飲食店や小売店で携帯電話の活用が進んでいるので、消費者がレジで携帯電話をかざし、店員にクーポンを確認してもらう姿は見慣れた光景になっている。まさに「クリックとモルタルの融合」であり、インタラクティブなコミュニケーションの実現である。
リーマンショック以降、いまだ業績を回復できない飲食チェーンが少なくない中、モスフードサービスは前期から今期にかけて、3回連続で業績を上方修正した。直近の業績予想では第2四半期までの純利益が前回予想の4倍になっている。
もちろん、携帯サイトだけが業績好調の理由とは言えない。しかし、テレビCMを中心としたマス広告を減らす一方、携帯をメディアにして消費者個人へダイレクトに情報を配信し、消費行動を喚起していることが分かる。
このシステムや手法を提供しているのが、株式会社ユニメディアである。ブックオフ、駅構内の案内地図、雑誌『SPA!』など多数のモバイルサービスの実績がある。
ユニメディアは2001年4月、資本金300万円の有限会社として設立された。社長の末田氏が大学を卒業した翌月のことである。広告手法やソリューションがめまぐるしく変化するインターネットやモバイルの世界で、自らも変化を遂げながら着実に成長してきた。モバイルメディア、メール広告、アフィリエイト、SEO、モバイルCRMなど、これまで提供してきたサービスは幅広い。
当社とのご縁が生まれたのは2003年、ユニメディア設立から3年目、末田氏がファイナンスを真剣に考えられていた頃である。事業計画の検討から参加し、当社ファンドは経営陣と同条件の新株予約権を付与して頂いた。その後、大手VCのジャフコ社と総額1億円の第三者割当増資をお引き受けした。「着実に」は末田社長のモットーだが、現在までの6年間で企業価値は数十倍に急成長している。
ユニメディアの「UNI」は「UNIFIED(統合)」に由来し、個が発信する無数のメディアを「統合する」という想いが込められている。一番の強みは、「情報流通のあり方を変え、マーケティング革新を起こす」という一貫した意志を設立当時から持ち続けてきたことかもしれない。時代の変化を的確に先読みし、ブレずにやり続けてきた。そうした姿勢こそが最大の資産であり、競争力だろう。
そして、2009年5月。同社は新サービス『UMAP』をリリースし、各紙に大きく報じられた。自社ソリューションをはじめ、全てのインターネット広告の出稿を一元管理し、その効果を解析できるプラットフォーム『UMAP』は、創業から変わらぬテーマを追求し続けた成果と言える。この『UMAP』を核に、ユニメディアは売上高50億円、営業利益10億円を当面の経営指標として見据えている。
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