日本全体が不景気の中で、ほとんど一人勝ちといえるのがユニクロ。ユニクロといえば、そのビジネスモデルやマーケティングが注目されるが、その真の姿は偉大なる変革者ではないだろうか?
ユニクロで買い物したことがある人96%
つい先日ユニクロは、6時からの早朝セールスに千人単位の人を集めた。これは特別なケースだろうが、普段でも土日の店舗は大にぎわいを見せている。何しろとびっきりダントツの絶好調企業である。
平成21年8月期の通期連結決算は前期比16.8%増で6850億円、営業利益は24.2%増の1086億円。通期売上では過去最高、営業利益も過去最高益となったようだ。リーマン・ショック何のその、天上天下唯我独尊企業といっても良いぐらいの勢いがある。
あるアンケート調査では、1000人を超える回答者のうちユニクロで買い物した経験がある、と答えた人が実に96%にも上った(日本経済新聞2009年11月30日付朝刊13面)。およそ日本人ならほとんどすべての人が、ユニクロで服を買ったことがある。イコールユニクロで服を買わない人がほとんどいないという、とんでもない状態ではないか。
なぜ、ユニクロが受けるのか
アンケートではユニクロが受ける理由についても調べられている。その結果は次の通りだ。まず「価格が安い(86%)がトップ。以下、カラーバリエーションが豊富(58%)、シンプルで飽きがこない(46%)、機能性に優れた商品が多い(37%)と続く(前掲紙)」。
安さがいちばんの理由なのは想像通りだとしても、それ以外の面でも高く評価されていることがよくわかる。逆にいえば、だからこその売上であり利益率なのだ。
ユニクロの店に行くたびに思うのは、客層の幅が広いこと。子ども連れから若い人、そしておじいちゃんおばあちゃんがいて、筆者のようなおっさん層もきっちり掴まえている。これがすごい。かつて、男女を問わずこんなにもさまざまな年代層の人から支持された洋服屋さんがあっただろうか。
すべての日本人にユニクロを
10年ほど前にユニクロがフリースで爆発したとき、スーパー各社が後追いで同じような製品を売り出した。少しだけ価格を安くしたり、あるいは少しだけデザインに凝ってみたりといろいろやってはみたが、結果的にはすべて淘汰されてしまった。
ユニクロ自体も決してずっと順風満帆だったわけではない。フリースの大ヒット以降は、経営陣の入れ替えがあったり柳井氏が復帰したりでごたごたした時期もあったのだ。が、数年前から同社は戦略的に明らかな方向転換をしたのではないだろうか。
その新しい戦略についての仮説はこうだ。『ユニクロが、これからの日本人のファッションライフをリードする』。極端な話、フォーマルウェアや女性のオシャレ着、ビジネスウェアや作業服、制服などをのぞく服装はすべてユニクロが提供する。傲慢といえばその通りかもしれないが、それぐらいの意気込みを感じる。
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