物を買うことは能力であり技術です。それを高めることは企業にとって継続的なコスト削減を実現していくための重要なポイントになります。
最近私が関心を持っているテーマは
「継続的なコスト削減の仕組みつくり」です。
以前からアジルアソシエイツは
「短期のコスト削減も大切だが、
中長期での調達購買マネジメントがより重要である」と主張してきましたので、
「最近」という言葉を使うのもおかしいかもしれません。
しかし、ポイントは「継続的な」であり「仕組みつくり」なのです。
これは「買う技術」と言ってもおかしくありません。
ビジネスは常に「売り」と「買い」があって成り立っています。
しかし今までは「売り」についての研究は多くの方によって行われていましたが、
「買い」を技術論として論ずること自体殆どなかったと思います。
「技術とは社会の各分野において
目的を達成するために用いられる手段・手法のこと。
・・学問的に技術を論じる場合には手段と能力とは明確に区別される。」
(Wikipediaより)
このように技術と能力(スキル)は明確に区別されてきたのですが、
「買う」ことは能力(スキル)として人に属するものであり、
例えば交渉力の延長のようにしか捉えられていなかったことが
「買う技術」を手法として確立できていないことにつながっているかもしれません。
しかし「買う技術」は存在します。
例えばコスト削減手法ですが、大きく4つの手法があります。
「(コスト精査や交渉等で)安くする」
「(ソーシングをかけて)安いところから買う」
「(テクニカルな活動によりVA、VE、標準化等を進め)安いものを買う」
+「買わない」です。
これらのコスト削減手法を品目や案件の性格に合わせて検討~実行する。
こういう標準手順を実施しましょう。というのが「買う技術」の一例です。
また集中購買を推進もしくは組合せ発注等を行うことで、
ボリュームを集約、集約したボリュームを元に
よりよい購入条件を引き出すことを徹底しましょう、というのも
構造的な仕組みを作ることであり一種の「買う技術」です。
開発上流段階でコストを作りこむ「開発購買」の取組や、
「サプライヤマネジメントの仕組つくり」も「買う技術」と言えます。
購買ネットワーク会のメンバーが始められている「私塾」や
「ほんとうの調達・購買・資材理論」も正に「買う」ことを「技術」化し
それを広めていることなのです。
「買う技術」は「継続的なコスト削減の仕組み」そのものであり、
買う技術が定着している企業とそうでない企業では
中長期スパンでの価格競争力、収益力に大きな差がでてきます。
昨今の不況下各社の収益に関する報道や、プロジェクトでの実績、
アンケート結果からも、より一層それを実感する今日この頃です。
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。