モノを買うことは技術であるが、多くの企業ではコスト削減活動を一過的かつ取りやすいところ、下げやすいところから取るという傾向がまだ強いようです。なぜなら。。
前回も「買う技術」について述べました。
「買う技術」を身につけることで、企業としての収益性や
コスト競争力を強化する取組みをしていこうという企業が出てきています。
本年度のアンケート調査でも昨年秋からの不況下で経営陣からの
「コスト削減目標の達成」への期待が高まっており、
その期待に対してのパフォーマンスは昨年に比べると改善しています。
また特に中堅企業においては、主要課題として全体の6割強の企業が
「コスト削減目標の設定と管理」を上げており、
企業活動の主要な経営指標として、部門もしくは、
品目別にコスト削減目標を設定し、
きちんとフォローすることを進めていきましょう、
という回答がトップになっています。
(従来このような活動は多くの大企業では当たり前のように行われていましたが、
多くの企業では未だにこのような経営指標管理が行われていないのが実態です)
このように「百年に一度」の不況を利用して
「外部への支出についての構造的な企業改革」を進め、
それによる効果を上げている企業も少なくありません。
一方で、やはり今年のアンケート調査結果ですが、
実は企業の「買う技術」がそれほど進んでいないのではないか、
と感じる点も見られました。
今年のアンケート調査では、昨今新聞報道等でも多く取り上げられている
「全社コスト削減活動」について聞いています。
前回のメルマガでも取り上げていますが、
「全社コスト削減活動」の推進状況は何と91%の企業が取組中と回答しています。
しかしその活動主体は「経営企画部門」や
「プロジェクトチーム」が過半を占めています。
また現在実施中の施策のトップは「既存サプライヤーとの価格交渉」であり、
「全社コスト削減活動」で効果が上がっている費用のトップは
「人件費」で6割強をしめているのです。
「全社コスト削減活動」は所謂緊急避難的な対策であることを考えると
止むを得ないことかもしれません。
しかし、これではバブル崩壊後90年代~2000年初頭に行われたリストラと
殆ど状況は変わりません。
つまり言葉は悪いかもしれませんが、
「とりやすい(下げやすい)ところからとる(下げる)」という
企業のマインドは全く変わっていないのです。
「人件費」には残業代や派遣労働者等のコストが含まれているのでしょう。
教育・研修費用なども真っ先にカットされる費用だと聞きます。
購買・調達部門に対する経営陣の期待は高まっていく一方であるが、
直近でやっているのは「既存サプライヤーとの価格交渉」であり
「買う技術」の習得ではない。
成果がでているのは「人件費」これでは、企業経営に対して
購買・調達部門が寄与できているとは言い難いのではないでしょうか?
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。