盛り上がりを見せるネット通販にコミュニティの活用が盛んだ。コミュニティ内に滞在する時間が長くなるにつれ、コミュニティとショッピング機能が結びつく機能が望まれてきた。ソーシャル・コマースはEコマースを変えるか?
小売業界が苦しむ中、ネット通販が元気だ。10年前は通販市場の1割程度しか占めていなかったネット通販が、通販全体の半分を超え、市場規模もすでに08年度に6兆円を突破したと分析するところもある。
楽天やYahoo!は09年12月に1日の流通金額の過去最高を示すなど、ネット通販は今後も大きな伸びを示していくだろう。
楽天、Yahoo!、アマゾンだけでなく、ブランドファッション「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイ社など、ネット専業には元気な会社が多い。ネットの持つ独自の機能、かつてのカタログ通販にしばられない見せ方、購買プロセスの提供によって、確実に顧客を増やしている。
カタログ通販との共存を図る企業でも独特のマーケティングを行う企業は多い。「BEYES」というオリジナリティあふれるEコマースを展開するライトアップショッピングクラブ、顧客の要望を商品開発に結び付ける手法が話題になったMUJIネット、ファンづくりにコミュニティを活用し、独自の展開を図るドクターシーラボなど、他社とは一線を画したWebマーケティングによって差別化を図る。
それに対し、カタログを主体とするその他の通販会社は、スーパーや百貨店の落ち込みほどではないが、各社ネット通販部門を伸ばしているにもかかわらず全体では他の小売や流通と同様に、対前年を割り続けている。
通販協会によると、2009年10月度の売り上げは、前年2.7%の減となった。
大半の通販会社は、カタログと同時にショッピングWebサイトを立ち上げ、Eコマースを完備し、電話、FAX、インターネットとチャネルを用意している。インターネットという武器の問題だけなのであれば、この大半の通販会社も楽天やYahoo!と同じように、インターネットによる販売が起爆となって、売り上げ増を示してもいいものだと思うが、そうでもない。
かつて通販が「ダイレクトマーケティング」モデルともてはやされたころには、多くの参入企業が登場し、競って「ダイレクト」という魅力的なビジネスモデルを採用していった。ネットの登場は、そのときの参入状態とは比較にならないプレイヤーを招きいれた。小売企業はこぞってEコマースサイトを立ち上げ、知名度を武器に地域的なビハインドをクリアし、テレビやラジオからの参入、そして海外からの参入、さらに大きいのは、これまで全国規模の販売活動とは無縁だった個人や地方企業まで、簡単に参入し、かつての通販企業にとって、考えもしなかった状況となった。
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