勝てる可能性が低くなった時だけに使われるようになってしまった「大和魂」。漠然とした「日本は大丈夫」のような思想から脱却し、攻めに転じるべきだと思うのですが…。
NHK大河ドラマが「天地人」から「坂本龍馬(『龍馬伝』)」に変わり、経済情勢もあって、過度のトップマネジメントやリーダーシップ論が台頭してくるのではないかという危惧もありますが…(実際の龍馬像は別のこととして)。
最近は海外企業による日本企業に対する企業買収や事業買収の動きが活発になっており、ブランドや特許技術(知的財産)の取得を目指す動きがあります。
雇用問題だけを考えれば、会社事業が安定していれば働き続けることには問題ないとなりますが、実際には経営が上手くいっている企業に対して買収の提案がなされるものですから、従業員の思いとは別に会社合併や譲渡、事業部門単位の整理が実施される可能性は否定できません。
◆ 「大和魂」と「尚武の心」
「大和魂」は、元々は「和魂漢才」のように日本以外の知識を使うにしても、日本人としてのこころ・価値観を大切にすべきという意味で発達した考え方です(時代や国学者などによって認識に揺れがあります)。
しかし明治から戦前・戦中を通して諸外国に対する排他的な意味が極度に強まり、現在日本で使われる「大和魂」は、残念ながら選民思想に近い発想や見えない力が助けてくれるという幻想を孕んだ、現実を直視していないような使われ方が多くなっているようです。
「尚武の心」は、最近でこそ耳にしない言葉ですが「端午の節句」そのものです。その意味は「武術の鍛錬を行い、攻防技術に通じ、心身を強くもち、勇気を持つこと」といった感じになるでしょうか。現代で考えれば、武術もいいのですが、仕事術で考えるのも良いかもしれません。
しかし戦後の「端午の節句」では、子供達に対して「心身ともに健康な立派な大人になること」が求められる反面、大人に対する「人生に対する様々な試練に打ち勝つ準備をする」という観点が抜け落ちていることがとても残念なのです。
◆ リスク感覚よりも「尚武の心」を
日本人は、世界的に見てもリスクマネジメントに疎い民族です。
「空気と水と安全がタダ」と揶揄されることがあるくらいですから、潜在的な部分で、大きな弱点を抱えている民族ということになります。実際の数値で見ても、欧米の上場企業のBCP策定率が80%以上に対して、日本企業は40%にも満たない状況です。
情報セキュリティ分野において考えても、社員退職時の機密情報・顧客情報流出は日常茶飯事で、ハッキング被害も増えており、顧客情報漏えいも増える一方です。ようやく防衛省でのハッカーチーム設立に予算がつきましたが米国、中国、ロシアと比較しても国を守る意識がどこにあるのかとても疑問であり、不安になります。
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