マラソン・ブームを支える
ランニングクラブの経営学

2010.01.24

経営・マネジメント

マラソン・ブームを支える ランニングクラブの経営学

阿部 (George)雅行

寒い時期にも関わらず、街を歩いていると、走っている人を見かける機会が本当に多くなった。2007年に始まった大江戸を十字に沿ってコース設定された東京マラソンも今年で4回目。抽選でウン倍!?。ランニング・ブームは健在だ。今回は、そのブームを密かに支える「ランニングクラブ」の実態に迫ってみたい。

都心で活動している会員制ランニングクラブは、登録会員100名以上の規模で10クラブ弱程度。クラブによっては登録会員300名超のクラブも出てきているようだ。

分かりやすいように単純に100名×10クラブと計算しても1000名。東京および千葉埼玉神奈川のランニング人口はその20倍以上あるだろうから、まだまだ開拓の余地がある考えているクラブ経営者が多いのではないだろうか。

そんなランニングクラブのターゲットは、

初心者向けからサブスリー(マラソンを3時間以内で走ること)以上の市民エリートランナー向けまで様々。最近では、全てのターゲットをカバーするカリキュラムを設定するクラブまで出てきている。

それら、ほとんどランニングクラブに共通して言える特徴は、

・過去および現役の有名看板選手(コーチ)が1名~数名居て、
・それ以外はエリート選手のスタッフが数名
・会費は1カ月5000円未満、
・平日夜2-3回、土日昼間に1回程度の頻度で、
・代々木公園や皇居、神宮外苑などのランナーの多い場所で、
・独自の練習メニューで練習会開催
・また主だったマラソン大会にチームで出場し、
・特別注文のTEEシャツやマラソングッズを販売して一体感を訴求

といったところ。

経営戦略的にみれば、一部のトップ現役選手を抱えるクラブを除けば、フィットネスジムのような装置産業とは真逆に、

・投下資本は少なく、
・経常費用はスタッフ人件費のみ、
・場所の選定の機動性は高く、
・(上記の要素をカバーできれば)気軽に創業できる

といったビジネスといえそうだ。

そんなランニングクラブの成功の鍵は、他のビジネスと御多分にもれず、

・看板選手(コーチ)の確保、ターゲットにあったone2one練習メニューの提供
・相場の範囲内の月会費
・都心のビジネスパーソンがアフター5で通いやすい場所での練習会開催
・チラシ配りやランニング雑誌での取り上げ、良い口コミの活用

など地道に行っていくことで、損益分岐点会員数を超えることといえよう。

しかし、さらなる過熱を予感させるマラソンブームの中で、安泰と思われるランニングクラブであるが、最近では新しい脅威が押し寄せていると言われている。

(次号に続く。)

執筆ビジョナリー:

阿部(George)雅行
一般社団法人 日本スポーツ&ボディマイスター協会(JSBM) 理事長
 http://www.body-meister.co.jp/
 http://twitter.com/karadasommelier
株式会社 BODY TUNE  代表取締役
 http://www.bodytune.co.jp/

経営人材育成コンサルタント事業を行う傍ら、元体重90キロの経験から「ビジネスパフォーマンスの源泉は、健康」を信条に、社会人向けビジネススクールの「スポーツ・健康版」、日本スポーツ&ボディ・マイスター協会を創業。健康やからだに関する知識・スキルを持った健康人材「からだソムリエ」の輩出に注力中。

個人BLOG&twitter:
http://blog.goo.ne.jp/koko_kara/
http://twitter.com/georgeave

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