開発上流段階で製品コストの80%は決定すると言われています。 その開発上流段階でQCD(品質、コスト、デリバリー)の作りこみをしていこうという活動が「開発購買」といわれています。 しかし、必ずしも開発購買が上手くいっているかというと、そうでもありません。
最近製造系バイヤーの方々から、
開発購買の推進について話を伺う機会が何度かありました。
毎年実施している「購買・調達アンケート」でも主要課題として、
常にトップランクに取り上げられていますが、中々推進が上手く
いっていないという様子が窺えます。
但し、最近数人の製造系バイヤーの方々からお話を聞いたところ、
徐々にではありますが、一定の成果をあげつつあるようです。
前にメールニュースでも記載しましたが、
開発購買の推進を妨げる要因として私は、「意識」の差と
「仕組みの適合性」のGAPを取り上げました。
「意識」の差は、特に設計部門と購買部門の意識が異なっていること、
「仕組みの適合性」のGAPについては、開発購買推進のためのITや
プロセス、プロジェクトなどの仕組みが「購買」発のものであり、
「設計」が求めているニーズと合致していない。ということです。
開発購買推進については3通りの類型があります。
1.物理的な壁を取り払い、わいがやで進める「大部屋方式」
2.部門横断型の専門チームが推進する「品目チーム方式」
3.全社的な仕組みとして取り組む「DB活用方式」
という3通りの進め方があります。
それぞれの方式毎にメリット、デメリットがあるものの、
特に「意識」の差という観点から考えると、
「大部屋方式」や「品目チーム方式」のような、ある程度キーマンを
介したナレッジの共有や推進が、特に設計・開発部門が強い日本企業に
おいては有利であると考えています。
先日お話を伺った企業さんも正に、そういう泥臭いやり方で
効果を上げ始めているというお話でした。
これらの企業さんでは、購買部門内の数人が、
設計部門に机を設置してもらい、一日数時間でもいいから
必ず顔を出して、まずは顔と名前を覚えてもらう。
呼ばれてもいないDR(デザインレビュー)会議に顔を出して、
率先して提案や調整を行っていく。
そういう地道な活動を通じて、初めて設計・開発部門のキーマンと
話をできるようになり、信頼してもらえるようになり、
ようやっとコストを意識してもらえるようになった。
というような話でした。
本当に手間の掛かる話ですが、
実はこのような泥臭いやり方で、まずは意識を変えていくことが
重要なのでしょう。
以前、私が自動車会社の購買にいた時も実は同じような経験が
あります。若いこともあり、設計・開発部門の部課長さんに
可愛がられ、木型承認の会議まで参加し、「購買の人間で
木型承認に立ち会った人間は初めてだ」と言われました。
そういう経験を経て、サプライヤさんの件、コストの件については、
野町に相談しよう、という方向に持っていけたと思っています。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。