ディズニーの「シェリーメイ」戦略のキモはなんだ?

2010.01.28

営業・マーケティング

ディズニーの「シェリーメイ」戦略のキモはなんだ?

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 1月22日に東京ディズニーシーで発売。購入まで最長5時間待ちだったと聞く。大人気のクマのぬいぐるみ「ダッフィー」のお友達という設定がなされた「シェリーメイ」。その存在には、ディズニーの戦略がたっぷり仕込まれている。

 ダッフィーは恐らく近年のディズニー関連グッズの中では類い希な大ヒット商品であろう。昨年10月に放映されていた月9ドラマの「東京DOGS」で、刑事コンビを演じる小栗旬と水嶋ヒロが掛け合いのセリフで「ダッフィーちゃん抱っこしたことあるか?」とギャグを飛ばし、多くの視聴者がそれを理解できてしまうほどの知名度である。
 筆者の自宅でも増殖を続けている。最初に標準というか、こどもが抱いて持ち歩くサイズのものが一体やってきた。続いてその半分ぐらいのサイズ。キーホルダーサイズも。最初の一体は頻繁にお色直しをしている。何やら衣装持ちである。

 ヒット商品には必ずストーリーがある。そのあたり、ディズニーは抜かりない。Wikipediaをひもといてみる。初登場は2004年11月5日であり、当時は「ディズニーベア」という名であったという。
 ストーリーは<ミッキーマウスには、お気に入りのテディベアのぬいぐるみがあった。 ミッキーマウスは、このテディベアといっしょに歩けたらどんなに楽しいだろう、と思った。 そこへティンカーベルが現れ、妖精の粉をテディベアにふりかけた。 すると妖精の粉の魔力でテディベアが動きだした。 ミッキーは嬉しくて、テディベアを抱きしめた。 テディベアの顔がミッキーマークになった。>とある。

 翌年のクリスマスにはあっという間にネーミングと設定変更が行われた。このあたりから、もしかすると今回の「シェリーメイ」登場の絵図が書かれていたのかもしれない。
 東京ディズニーシーの公式ホームページの記述を引用する。
 <ミッキーが長い航海に出る前の夜、ミニーはミッキーがひとりぼっちで寂しくならないようにと、ミッキーのためにテディーベアを作りました。『ありがとうミニー!』ミッキーはミニーが心を込めて作ったプレゼントをとてもよろこびました。(以下略)>

 「ミニーが作った」というところがミソだ。「ディズニーベア」の設定のように、ティンカーベルの「妖精の粉の魔力」のような偶然性に依存するのではなく、ミニーならいつでも、いくつでも作ってくれるだろう。(もしかすると、ミッキーが頼めばティンクもいつでも粉をかけてくれるかもしれないが・・・)

 大ヒットし、多くのファンがダッフィーを抱いて来園するようになった。街でもカバンにキーホルダータイプや小型タイプをぶら下げて歩く人も多くなった。そこで、ミニーの出番である。同じく公式ホームページの記述。
 <ミニーはダッフィーのお友達を作っています。『きっとよろこんでくれるわ!』ダッフィーはミニーからのプレゼントにちょっとはにかみました。目の前にかわいらしい女の子のお友達があらわれたからです。ハートのかたちをしたペンダントがとってもチャーミング!『よろしくね、シェリーメイ!』>

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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