国際会計基準の導入でコストは避けて通れない問題です。実際の導入コストがいくらになるか分からないことが多いのですが、海外の先行事例を参考にすることができます。
本サイトへの投稿記事は
aegifの国際会計基準専門ブログ IFRS of the day(http://aegif.typepad.jp/ifrs/)より引用しております。
日本でのIFRSの導入にあたって
早期適用を検討している大企業などでは
すでに全社プロジェクトとして動き出しているところもあるようです。
しかし、多くの企業では
本格的な検討に着手し始めているとはいえ、
プロジェクトの発足というところまで進んでいないかもしれません。
背景には
最近の経済情勢がなかなか上向いてこないことや、
まだまだ日本でどのような適用になるのか見えてこないという
もどかしさもあるようです。
IFRSの対応で、実際にまず問題になってくるのは
コストのことだと思います。
実際のコストを見積るには調査、検討が必要になりますが、
海外の例を参考にすることもできます。
イングランド・ウェールズ勅許会計士協会(ICAEW)がEUのIFRS導入についての報告書を出しています。
日本の私たちにも非常に参考になります。
ここでのEUの事例では以下のようになっています。
売上高500Mユーロ(625億円)以下の企業 売上高の0.31%(2億円弱)
売上高500M~5000Mユーロ(625億円〜6,250億円)の企業 売上高の0.05%(3千万円〜3億円)
売上高5000Mユーロ(6,250億円)以上の企業 売上高の0.05%(3億円以上)
(EU Implementation of IFRS and the Fair Value Directive)
(円換算は1ユーロ=125円で換算)
大企業ほど導入にコストがかかるのは予想通りだと思います。
しかし、小規模の企業と中規模の企業で比較すると逆転して、規模の小さい企業の方がコストがかかってしまうという状況が生じています。
一般的には大企業の方が複雑な取引が多いなどの理由で、IFRS対応のコストがかかると考えられますが、
そのこと以上に、小規模な企業では内部の人員だけでは対応できず外部のリソースに頼らなくてはならない部分が多くなりコストがかかっているようです。
また、この報告書で大企業では導入時のコストが高くなるがその後のランニングコストは大企業の方が低くなっていると指摘されています。
実際にIFRSの対応を検討してみると、簡単にいうと、
初期投資を増やしてシステムなどで対処するか、
マニュアル作業を増やして「力技」で対処するか、
という選択肢を考えることになる場面が多いと思います。
IFRSへの修正を手作業で行なうといった対処法は初期の導入コストを減らすことができますが、
その後ずっと作業負荷が重くなってしまい、経理部門を中心に負担が大きくなるでしょう。
だからといって、すべてをシステム処理にすれば解決、というものでもありません。
費用対効果でみていくことになるでしょう。
どのように導入コストを抑えていくか、ということが重要なのは確かですが、
うまく対処していくには、やはり早期から検討を進めていくことが必要だと思います。
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