どこのオフィスにでもある「でっかいゴミ箱」

2010.02.01

組織・人材

どこのオフィスにでもある「でっかいゴミ箱」

川口 雅裕
NPO法人・老いの工学研究所 理事長

ほとんどのオフィスにある「大きなゴミ箱」を通して、大切な事柄が見えてきます。

昔、フリーアドレスに挑戦したことがあります。約20人の部員がいる部署で、私は課長さん。目的は忘れてしまったのですが、何か変化が欲しかったのか、新しいこと好きの血が騒いだか、そんな曖昧な感じだったと思います。フリーアドレスとは、住所が自由・不定ということで、オフィスにおいて自分の机が決まっていない状況を作り出すことです。だから、朝出社してきたら自分の机にヨッコラショと座るのではなくて、どこに座るか考えないといけません。来た順に、自由に座っていきます。

何が良いかというと、自分の机ではない(明日は違う人がそこに座る)ので帰るときには片付けてというか、何もない状態にして帰らないといけませんから、机の上が綺麗になります。隣に座る人がしょっちゅう変わる(毎日が席替え)ので、ちょっとだけ楽しい。うまくすれば、色々な人の業務の状況や仕事の中身がよく分かるようになる、といったことがあります。机だけではなくて、PCも自分のものではない(本当はもともと会社のものですが・・)ので、ハードディスクに変なものを残したり、乱雑に保存したりできませんし、履歴が残るのでインターネットで遊んだりできません。(個人作業は、共有サーバーに個人ごとにロックがかかったフォルダーを作って、そこで行います。)

これは、自分ではかなり気に入って、うまく機能したように感じたので満足していたのですが、一部の偉い人にはどうでもよいことに力を入れているバカ扱いされたりしましたし、私が異動になったら元に戻ってしまったのはコケそうになりました・・・。結局あれから10年くらい経ちますが、世の中で流行っていませんので何かイマイチな部分があるのか、取組みの面倒さの割に効果がないのか、「自分の机がある」ということが大事なことなのか分りませんが何かあるのでしょう。オフィス空間や職場環境に対して、経営というものはまだまだ鈍感であるということかもしれません。
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とは言え、フリーアドレスをやった際に発見した(ちょっとだけ)スゴイことがあります。当時、キャビネットが10本(上下で20本)くらいあったのですが、それを期に中を全部チェックして捨てていったら、何と2本(上下で4本)になったこと。8本の背の高いキャビネットの中には、部内の誰も必要としていない資料が保管されていたわけです。8本の背の高いキャビネットが、ゴミ箱と化してしたのは、当時結構な驚きでした。皆さんのオフィスも、ゴミだらけになっていないでしょうか。ひょっとして、日本中のオフィスにあるキャビネットの半分くらいは、実質的にゴミ箱だったりして・・・と想像したりします。

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川口 雅裕

NPO法人・老いの工学研究所 理事長

高齢期の心身の健康や幸福感に関する研究者。暮らす環境や生活スタイルに焦点を当て、単なる体の健康だけでなく、暮らし全体、人生全体という広い視野から、ポジティブになれるたくさんのエビデンスとともに、高齢者にエールを送る講演を行っています。

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