2009年は「コスト削減」の年でした。 しかしながらコスト削減には良いコスト削減と悪いコスト削減があります。今年は昨年やってきたコスト削減活動の真価が問われる年になりそうです。
先日「2010年を読み解く」会と題して購買ネットワーク会のメンバーを中心に
50名程度の人が集まった会が開催されました。
私もパネラー的な立場で参加させてもらったのですが、
いつもの購買ネットワーク会以上に各地方からの参加者も多く、
その熱心さには驚かされました。
その場でも話したのですが、2009年度の日本企業を一言で表現すると
私は「コスト削減」の年であったと思います。
過去に何度も不況の波はあったのですが、
これほど殆どの業種、規模の企業で同時不況になったことは記憶にありません。
そういう状況下でこれほど「コスト削減」に
多くの企業が力を注いだ年はなかったかもしれません。
先日もご紹介しましたが、
2009年度の調達・購買部門向けアンケート調査
(http://www.agile-associates.com/enquete091120/)によると
回答企業のなんと91%の企業が「全社コスト削減活動」に取り組んでいます。
このようにデータから見ても昨年は「コスト削減」の年であったことが窺えます。
しかし「コスト削減」には良いコスト削減と悪いコスト削減があります。
悪いコスト削減とは、
いわゆる企業を負のサイクルに落し入れるような活動を指します。
単なる予算一律カットや、サプライヤマネジメントがないままに
単に市場価格と比較するという論拠から
買い手という強い立場を利用した価格ネゴ、
このような活動は短期的には効果があがりますが、
社員のモチベーションを低下させ、サプライヤとの関係性つくりという点からも
負の影響をもたらします。
一方で良いコスト削減とは悪いコスト削減以外の取組みが上げられます。
買うということを技術と捉え、企業の力として開発、共有、定着を図る、
それによってサプライヤや経営者、ユーザーなどの
ステイクホルダーとの関係性を意図的に構築することは、
短期的には効果が少ないかもしれませんが、
中長期的には企業の耐力そのものにつながってきます。
そう考えてアンケート調査結果を読み取ると、
実はコスト削減と言っても悪いコスト削減が中心なのかな、
と思わざるを得ない点も多々あります。
例えば「全社コスト削減活動」の主管部署はほぼ半数の企業が
「経営企画部門」であり、購買部門は全社の一部門として活動しているだけ、
やっている施策は「既存サプライヤとの価格交渉」や「予算の一律削減」が
上位であり、効果が上がっている費用は従来型リストラの延長である
「人件費」「旅費交通費」等の内部費用が多くを占めている。
何なんだろう、と思ってしまいます。
企業における調達・購買部門への経営者からの期待は年々高まっているものの、
やはり期待に答えられていない実態が浮きぼりになっているようです。
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。