事務所向かいのファミリーマートにTSUTAYAのDVD自動レンタル機が設置された。映画を見ているヒマなどない。だけど、ものすごく気になる。そのしくみがよくできていて。
TSUTAYA BOXというらしい。
http://tsutayabox.jp/RBO/default.aspx
新作すら100円。昨今、飲料すら立地の悪い激安自販機でもなければワンコインで買えないとうのに、便利なコンビニ店内に設置されてたったの100円で新作DVDが見られるのだ。100円なら、レンタル時間は最短の6時間。延長6時間毎に100円と明朗会計。どんなに長くてもほとんどの作品は3時間未満。ふらっと借りてしまう勢いだ。
クレジットカードでの支払い。文字通り、その場で「ふらっと」借りることもできるようだが、PCかケータイでネット予約しておけば、見たい作品が予約から4時間確保できるという。モニターで収納されているタイトルも確認できる。新作・旧作てんこ盛りの品揃えである。
このビジネスモデルはものすごくよくできている。
商売の基本は、どこまで行っても「売上げ=客数×客単価」だ。だが、その客数と客単価をさらに分解すると、このレンタル機の意味がさらに明確になる。
「客数=店舗前通行数×入店率×購入率」。コンビニの立地は間違いなくいい。また、時間帯にもよるが、小売り業態の中でもとりわけ入店率は高いはずだ。ちなみに、筆者はかなりの確率で吸い込まれる。そして、飲料だのガムだの、何らかは買う。昼時なら弁当だ。購入の際、「ついで買い」が多いのも特長だ。筆者も、初めてレンタル機を見た時、「おおっ!」と危うく勢いで「ついで借り」するところだった。(見る時間ないのに)。
従来通りレンタル店で客を待っていたり、客の家まで宅配でDVDを届けたりという現在のスタイルに比べると、圧倒的に客数は増えること間違いなしなのだ。
「客単価」も分解してみよう。「客単価=購入商品数×購入商品単価」だ。購入商品数は、6時間という時間では1枚に限られる。購入単価は100円だ。
上記からすると、低客単価を客数で補うように見えるが、客数は「回転率」がキモなのだ。
通信販売などで「RFM」という指標が用いられる。R:Recency=最新購買日:どれくらい最近に購入しているか、F:Frequency=累計購買回数:どのくらいの頻度で購入しているか、M:Monetary=累計購買金額:全部でいくら購入しているかである。
毎日に近く立ち寄るコンビニなら、FrequencyとRecencyが高くなることが期待できる。結果として、Monetaryも最大化する。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。