店舗経営者にとって、いつかは必ず迎える「閉店・撤退」という選択。原状回復をして通常の撤退をするよりも、居抜き物件としての売却をするよりも、M&Aとして売却するのが最もメリットがあるのをご存知ですか?話題の居抜物件とM&Aについて、それぞれのメリット、デメリットを詳しく解説します。
店舗経営者の方に質問です。
下記の質問にお答えください。
【質問1】 現在、順調に店舗経営をしているが、将来何らかの理由で廃業をする予定でいる。
【質問2】年間売上が5,000万以上あり、役員報酬も取った上で、営業利益が黒字である。
【質問3】優秀な従業員がいて、お客様にも支持されている。
【質問4】廃業までには、時間的余裕が比較的ある。
上記4つの質問全てにあてはまるのであれば、原状回復をして通常の撤退をするよりも、居抜き物件としての売却をするよりも、M&Aとして売却するのが最もメリットがあるのをご存知ですか?
通常、店舗経営の撤退にはコストが発生します。まず、家主との賃貸借契約上、スケルトンと呼ばれる借り始めた元の状態に回復する必要があり、現状回復費用は店舗の内外装の状態によって異なりますが、店舗事業の場合の一坪当たりの相場は4万円~10万円と言われています。つまり、25坪の居酒屋が撤退する場合、撤退費用として100万円~250万円の現状回復費用の支払が発生します。また、一般的に3カ月~6か月前に家主に対して解約予告を通知する義務がありますので、すぐに撤退したい場合、解約予告を通知してから撤退するまでの期間の空家賃の負担もしなくてはいけません。これらの費用を支払った後に、家主から保証金が戻ってきますが、通常10%~20%の償却をするという契約になっていますので、手元に残る費用は保証金以上の金額、つまり最終的にはマイナスの支出という事になります。
最近では、「居抜き店舗」や「居抜き物件」という言葉が流行っていますが、正しくは「造作譲渡」といい、これは現状回復にする事なく、次のテナントオーナーに内装や設備をつけたままの状態で引き渡す事を言います。店舗撤退をする売り手にとって、原状回復費用を支払う必要がないばかりか、引き渡し直前まで営業ができるというメリットや内装設備をそのまま使うので地球に優しいというメリットもあります。しかしながら、居抜き物件での売却の譲渡価格の相場は1円~500万円と極めて安く、また赤字撤退での売却が殆んどで、買い手に対して売り手の方が多く「千三つ(せんみつ:千に三つの割合」という言葉で表現される様に、買い手が見つかる可能性が低いというデメリットがあります。
一方、最初の質問に全て当てはまったのであれば、M&Aで売却をするのがベストな方法であり、居抜きでの売買のデメリットを解決するばかりか、M&Aにははるかにメリットがあります。M&Aというと大企業同士の企業買収を想像する方が多いかもしれませんが、M&Aはスキーム、つまり単なる方法ですので、店舗などの小規模事業にも当てはめる事ができます。M&Aには主に株式譲渡と事業譲渡という方法があり、株式譲渡の場合、みなさんが想像する様に会社ごとの売買を意味します。一方で、事業譲渡とは、会社ごとの売買ではなく、事業としての売買を意味し、営業権のみを売買します。買い手は株式譲渡と異なり債務の継承もない為、簿外債務を引き継ぐ等というリスクも低く、店舗の売買など小規模事業のM&Aには向いているM&Aが事業譲渡です。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2009.02.10
2015.01.26