勢いが止まるところを知らないユニクロ。次の一手はカジュアルウェアの最もベーシックなアイテムであるジーンズだった。しかし、その戦略はあらゆる競合を撃沈させるインパクトを持った一撃だったのだ。
2月17日、ユニクロは新ジーンズブランド「UJ」を発表した。ユニクロがジーンズを発売というと、あまりに当たり前に感じてしまうのか大手メディアではあまり大きな扱いの記事にはなっていなかったが、ファッション関連の専門サイトFashionsnap.comが詳しく伝えていた。
記事は次のように始まる。<「UNIQLO(ユニクロ)」のジーンズが生まれ変わり、新ジーンズブランド「UJ」が誕生した。2010年春は54型を揃え、1,990円〜3,990円の3プライス制を導入。「ジーンズを変えていく。」をコンセプトに、世界一のジーンズブランドを目指す。>加えて、ユニクロ取締役COO大苫 直樹氏のコメントも掲載している。<「グローバル戦略商品であるUJをユニクロの代表的ブランドとして育て、世界で一番売れているジーンズブランドになるのが究極の目標。」>とのことで、<これまでのユニクロのジーンズの年間販売数である1,000万本を大幅に越える規模の販売を狙うことを示唆した>という。
UJの登場は、ジーンズ製品を扱うすべてのアパレルメーカーを震撼せしめたことだろう。ユニクロを持つファーストリテイリングには、傘下にジーユーがある。昨年3月に990円ジーンズとして市場に登場し、9ヶ月間で100万本の販売実績をたたき出した。日経MJのヒット商品番付でも西の横綱に輝いたことも記憶に新しい。グループで1000円~4000円の価格レンジが揃うことになる。しかもUJは54の型番を持っている。恐ろしいまでの「面」を押さえる戦略だ。
さらに<定番デザインに加え、いま最旬のデザインジーンズを毎月5〜7型リリース>(Fashionsnap.com)するというから、時間軸でみれば面ではなく奥行きも持っていることになる。<あらゆる人が自分の一本を見つけることができるだろう>(同)と伝えているが、ユニクロの戦略は顧客に複数購入させる「アップセリング」が基本だ。すべての人々のクローゼットにUJが2~3本入っているようになるのかもしれない。
UJのインパクトはそのポリシーにある。
<"UJ"は、3つの「F」を追求する 本当に良いジーンズに欠くことのできない「FIT」、「FABRIC」、「FINISH」、という3つの「F」を追求しつつ、歴史や伝統に縛られない新しいジーンズを創造していきます。><FIT:あらゆる人が自分にとって最高の一本を選べる豊かなフィットバリエーション FABRIC: 厳選された生地と糸が生み出す、世界中のジーンズ好きが驚くほどの素材 FINISH:日本生まれの高度な技術を用いた縫製と加工>(同社ホームページのニュースリリース)
ユニクロとしての気合いがひしひしと伝わってくる。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。