おひとり様商品・サービスが好調らしい。様々な流通・サービス業・メーカーがおひとり様顧客獲得に向けて躍起だ。ただしその大半は女性向け、男たちは市場の対象としても見られていないのか。
先日総務省から発表された消費支出データは、企業の利益改善と対照的な動きを示している。2009年の10月~12月の消費データは、総世帯で名目前年対比マイナス2.3%を示し、特に単身者においては、名目マイナス8.2%となっている。
企業は売り上げが低迷し続ける中、利益確保のために「人件費」という固定費を削り、企業存続のために1円でも多く利益を上げようと必死だ。そしてこの消費データは、そうしたコスト削減の矛先は、単身者や若年層に向いていることを示している。
『7割は課長にさえなれません』(城繁幸著 PHP新書)で示されているように、常に単身者に対して負荷がかかる社会構造は、消費動向にもはっきりと現れているようだ。
しかし、同じ単身者でも女性に向けた「おひとり様」サービスは活況らしい。ホテルやレストランでの食事やスイーツ、旅行、インテリアなど各社は競って女性向け「おひとり様」商品を提供している。また女性向けとして、ステーショナリーやオフィス用品、デジタル商品まで多くの商品が開発されヒットしている。
女性向けは伸びているにもかかわらず、単身者向けがそこまでマイナスとなると、男性単身者のマイナス振りはいったいどうなっているのかと言いたくなる。
少し古い話にはなるが、「歴女」や「森ガール」など、女性のライフスタイルを表現することばは毎年のように出てくる。そしてそのスタイルに呼応するかのようにサービスが生まれ、市場はさらに大きくなる。一方で、男性側のライフスタイルや価値観を表すようなことばは少ない。「草食系」と言われるような、どちらかといえばネガティブな要素を含んだことばになってしまう。
しかし、おひとり様は女性だけではないはず。女性が単身ならその分当然男性も「おひとり」なわけなのだが、男性おひとり様用商品やサービスはあまり聞いたこともないし売れたという話題も少ない。確かに、「オタク」や「マニア」はそもそも男性をイメージして言われ始めたことばであり、男性おひとりというのはあたりまえの話なのかもしれない。
みずほ総合研究所のレポートによると、50歳代、60歳代の単身者が大きく増加しているという。そしてこの傾向は今後も続き、高齢化社会ともにますますシニア層のシングル世帯が増えていくという。
中高年の単身者の話題となると、どうしても年金や保障など社会としてのセーフティネットや就職支援、あるいは健康といったことになってしまうが、社会構造や企業の人口ピラミッドを見ればわかるように、まだまだ組織経営の中心はこの50歳代60歳代の世代だ。役員でなくとも65歳代半ばまで勤める人も多い。
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