日本が国際会計基準の適用に向けて動き出した背景にはアメリカの影響があると言われています。アメリカでは今どのような議論がなされているのでしょうか。日本にはどのような影響があるでしょうか。
本サイトへの投稿記事は
aegifの国際会計基準専門ブログ IFRS of the day(http://aegif.typepad.jp/ifrs/)より引用しております。
アメリカでの国際会計基準の適用については前共和党政権下で推し進められてきましたが、
政権交代と世界的な経済危機といった状況の変化もありトーンダウンしている様子でした。
また、国際会計基準の設定にはEUの政治的圧力などの影響を受けているのではないか、という疑念もあり、
国際会計基準の導入について懐疑的な意見も出ていたようです。
すでに世界的には多くの国で適用されている国際会計基準ですが、
アメリカの動向は非常に重要な問題です。
現在は米国会計基準と国際会計基準はコンバージェンスプロジェクトを通じて両者を近づけようとしています。
アメリカの場合は、国際会計基準の改訂と同時に行なわれているので、米国会計基準の考え方が国際会計基準にも大きな影響を与えています。
日本で進められているコンバージェンスでは、日本基準が国際会計基準の規定を取り込んでいくことになるので、
米国会計基準と国際会計基準のコンバージェンスの後を追いかけているような形になっています。
アメリカがどのような判断をするかということが、日本の制度にも大きな影響を与えます。
そのような状況の中、2010年2月24日にSECから声明文が出されました。
ここではSECが国際会計基準の導入を推進していくことが確認されています。
アメリカの国際会計基準導入に向けての準備作業が進められていくことになりますが、
これまでの計画よりも長い準備期間を取ることになっています。
コンバージェンスやその他の準備作業を進めて2011年にIFRS導入を決定することはこれまでと変わりがないのですが、
企業での準備期間がかかると考え2015年より早い段階での適用はないとされています。
これまでは3年の準備期間を想定していましたが、
アメリカで4〜5年の準備期間が必要と考えるのは妥当なところだと思います。
ヨーロッパは大体3年程度で概ねスムーズな移行がなされたと言われていますが、
イギリスなどかなり国際会計基準に近い会計基準を持っていた国もありましたし、
実際には間に合わず「やっつけ仕事」での対応を行なったため過大な負担を負った企業もあるようです。
EUでの反省として、早い段階から準備しておけばよかった、という声は多いのです。
SECでは教育と経験を通じて十分な準備を行なうことの必要性を改めて指摘していますが、
企業での取り組みが重要であることはSECの指摘を待つまでもなく、これまでと変わりありません。
日本で国際会計基準を導入しないということはまず考えられませんので、置かれている状況は同じです。
標準的に考えても5年くらいという息の長い取り組みになりますが、着実に進めていかなくてはなりません。
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2009.02.10
2015.01.26