カテゴリーシェア7割の圧倒的なリーダー「爽健美茶」。復権をかけて挑む「十六茶」。さらに、まさかの新規参入者も現れて混戦も予想される「ブレンド茶」戦線を見てみよう。
飲料市場に異変がある。縮小しているのだ。<2009年の飲料市場は前年比1.3%減で、2年連続でマイナス>(富士経済調べ・livedoorニュース・シゴトの計画2010年3月16日)だという。カテゴリー別に見れば<近年、健康志向の高まりに伴って成長したミネラルウォーター類、機能性飲料類などが前年比約94~96%に落ちている>。その中で、<前年比5.4%アップと、3年連続で伸びたのが「炭酸飲料>という状況だ。
不景気で浄水器の水を飲む。その水にスポーツドリンクの粉末の粉末を用いて割安に済ます。そして、お茶は自分で淹れる。「水筒男子」の台頭である。茶系飲料はカロリーがないことから飲まれていたため、ゼロカロリーで美味しい炭酸に代替され、さらに炭酸は自分で作れない、水筒に入れられない故に一人勝ちなのだ。茶系飲料、直撃である。
そんな環境下で、飲料各社が力を入れているのが、複数の原料を用いて淹れる「ブレンド茶カテゴリー」である。アサヒ飲料の十六茶が開拓したカテゴリーであるが、現在は日本コカ・コーラ・爽健美茶の鉄壁の牙城である。しかし、その動きにも変化がある。
爽健美茶は従来、「美」という文字が好まれ女性を中心に支持が高かった。しかし、7割というシェアを取り切っていたことから、昨年、男性にもターゲットを拡大した。CMキャラクターをモデルの杏、シンガーの福原美穂、俳優の竹野内豊と3枚看板にし、メインを竹野内に据えた。広末涼子のCMで人気の高い「からだ巡茶」がすっかり「女性向けブレンド茶」として育ったからこそできる戦略であると推察できる戦略である。
しかし、この春からのCMは宮﨑あおいが務めることになった。再び女性に戻した形である。その背景には、「爽健美茶・黒冴」という男性ターゲットという属性を明確にした商品を上市することに成功したことが挙げられるだろう。
宮﨑あおいのCMを見ると、一つ気がつくことがある。パジャマ姿で朝の光の中でストレッチをしている。そう、「朝」なのだ。
朝をテーマにした訴求は、一足先に十六茶が打ち出している。「結衣は朝、十六茶から~♪」とガッキーこと新垣結衣が懐かしの松本伊代のデビュー曲「センチメンタルジャーニー」の替え歌を歌う。CMの始まりではパジャマ姿だ。商品にも明確に「朝ブレンド・カフェイン0」と表記されている。カフェインゼロは若干カフェインを含有する原料を使用する原料を使用する爽健美茶に対する差別化であることは間違いない。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。